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秋山真之式仕事方法

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第二章

「新田先輩がいつもトップなのはどうしてでしょうか」
「そのこと?彼情報収集念入りだからよ」 
 理恵は夏織に微笑んで話した、今は会社帰りでマツダスタジアム近くのお好み焼き屋で共に夕食を食べつつ飲んでいる。
「それでよ」
「情報収集ですか」
「まずお仕事に行く相手のことを調べて」
 そしてというのだ。
「そのうえで把握してファイルとかにまとめて」
「そうしてからですか」
「セールスみたいに行く時もその地域を調べて」
「行かれてるんですか」
「そうしているからね」
「いつもトップなんですか」
「営業は足っていうけれど」
 夏織が言っている様にというのだ。
「相手のことを知る、これがね」
「先輩の秘訣ですか」
「何でも彼日露戦争の参謀秋山真之さんのファンで」
「ああ、海軍の」
 夏織もその名を聞いて思い出した顔になって応えた。
「参謀だった」
「あの人兵学校で試験はトップだったけれど」
 それもずっとだ。
「事前に過去のテストや教官の人達の性格とか教え方を把握してね」
「情報収集ですね」
「それを行って」
 そしてというのだ。
「テストを受けてね」
「それでいつもトップだったんですね」
「その秋山さんみたいにしているから」
「先輩もですか」
「そういうことよ」
 こう夏織に話した。
「新田君がトップになってるのも理由があるのよ」
「ちゃんと努力されてるんですね」
「そうよ、彼なりにね」
「わかりました、じゃあ私も先輩に負けない様に」
 夏織は燃える目で言った。
「これからは情報収集もです」
「お仕事の」
「足ばかりに頼らずにやっていきます」
「そうするのね、応援してるわよ」
「その応援に応えます」
 こう言って実際にだった。
 夏織は情報収集にも力を入れた、だが得手不得手があって。
 新田よりも上手に出来ず結局新田を超えられなかった、しかし成績自体が上がりそれが評価されて彼女も広島支社のホープと言われた。そして新田には勝てないながらも前向きに明るく仕事をしていくことが出来た。


秋山真之式仕事方法   完


                   2023・3・22 
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