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勝海舟の身長

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第一章

               勝海舟の身長
 高校生の桑原良夏の背は一四九センチだ、顔立ちは大人びていて知的な印象を見せる奥二重の目と細く見事なカーブを描いた眉と先が尖った顎と赤い小さな微笑んだ形の唇もだ。
 全て大人な印象で長く伸ばしセットした黒髪も程よく出た胸も引き締まったウエストもだ。
 だが自分の背についてだ、良夏本人が言った。
「私小さいからね」
「それでなのね」
 クラスメイトの武田萌美が応えた、彼女は一六六で縮れた黒髪を腹辺りまで伸ばし切れ長のきりっとした目に引き締まった唇を持っている。ソフトボール部の部活で日焼けした顔にホームベース型の顔で良夏に負けないスタイルであり足も長い。尚二人は同じ部活で萌美はセンターで良夏はセカンドである。
「よくお顔やスタイルから見て」
「そう、背がおかしいって言われるのよ」 
 下校中に隣を歩く萌美を右に見上げて見つつ話した。
「写真で見たら背が高い感じで」
「実際に見たら小さいって言われるのね」
「子供みたいだって」
 その様にというのだ。
「これがね」
「そうなのね」
「いや、一五〇ないとね」
 それならとだ、良夏は言った。
「小柄よね」
「そう言われるっていうのね」
「大体一五五以下で」
 それ位の身長でというのだ。
「小柄よね、それで一六五でね」
「背が高いっていうのね」
「女の子だとね」
「そうね、男の子だったら一六五以下で大体小柄ね」
 萌美はそれならという感じで応えた。
「それで一七五以上あったらね」
「高いわね」
「日本だとね」
「そんな風よね」
「ええ、ただそれ今の日本のお話だから」
 素っ気なくだ、萌美は良夏に話した。
「昔は違うわよ」
「そうなの」
「ええ、昔の日本人今より小さかったでしょ」
「そういえばそんなこと聞いたことあるわ」
「特に江戸時代が小さかったのよ」
 この頃がというのだ。
「実はね」
「そうだったの」
「幕末の頃平均が一五五だったのよ」
「へえ、女の人が」
「いや、男の人が」
 萌美はここでも素っ気なく言った。 
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