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星河の覇皇

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第八十三部第一章 防衛ライン到達その二十八

「戦争に勝った、そしてドイツ帝国を建国した」
「そうしてでしたね」
「そのまま欧州で戦争を続けたかというと」
「一転してでしたね」
「戦争をしなくなった」
 それも一切だ。
「各国の外交の仲介までしてだ」
「平和を維持しましたね」
「戦争をしたオーストリアに出した要求も微々たるものだった」
 これもビスマルクの戦略のうちだったのだ。
「オーストリアはドイツから排除したが」
「その後はオーストリアと同盟を結ぶつもりだった」
「だからだ、オーストリアには多くを求めず」
「恩を売り好感情も獲得して」
「そうして実際に同盟国にした」
「若しそこで多くの賠償金や領土を要求すれば」
 その場合はというと。
「どうしてもな」
「オーストリアは敵に回っていましたね」
「それも常にな」
「そうなれば」
「確かにオーストリアは退けた」
 戦略的にこのことは実現したがというのだ。
「しかしだ」
「それ以降もありますね」
「ビスマルクの目的はオーストリアをドイツから排除することだった」
 小ドイツ主義を掲げるプロイセンと大ドイツ主義を掲げるオーストリアの対立だった、広大な領土の中に多くの民族を持つオーストリアを入れると何かと統治しにくいという考えが小ドイツ主義の言い分だった。
「それを達成すればな」
「よかったので」
「それ以降はな」
「ビスマルクは求めていなかった」
「ドイツ帝国を成立させるとだ」
「オーストリアはドイツの盟友となれる」
「同じ民族、同じ言語だった」
 ドイツとオーストリアはだ、オーストリアの支配民族はゲルマン民族でありドイツ語を喋りドイツ文化圏に属していたのだ。
「ならだ」
「盟友にもなりやすいですね」
「だからドイツ帝国成立を見据えてだ」
「オーストリアへの要求は微々たるものだった」
「オーストリアについたバイエルンに対してもな」
 バイエルンはこの時オーストリアについたが兵は動かさなかった、バイエルン王がそうさせたのだがその王こそ狂王と言われるルートヴィヒ二世だった。この王は実は政治的なミスは犯さず時流を見て動くかつ赤十字にも一早く賛同し科学の平和的利用を念頭に置いていた。
「微々たる要求で終わらせた」
「そしてオーストリアは盟友となり」
「バイエルンはドイツ帝国の中で重要な国となった」
「プロイセンに次ぐ」
「そしてフランスに勝ち」
「ドイツ帝国を建国し」
「その後はだ」
 ドイツ帝国の外交として、というのだ。
「戦争を行わず」
「平和主義に徹しましたね」
「そうしていた、それを見るとな」
「サハラもですね」
「統一すればだ」
 その後はというと。
「決してだ」
「戦争は行わないですね」
「そうだ、だが防衛計画はな」
「各国に対して備えておく」
「そうしてだ」
「国を守りますね」
「そうする、サハラは千年の間戦争をした」
 それこそ戦闘が起こっていない日はなかった、千年の間常に何処かで戦争が行われていた。アッディーンとシャイターンが台頭するまでは。 
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