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ソードアート・オンライン~黒の剣士と紅き死神~

作者:ULLR
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フェアリー・ダンス編
新世界編
  説得





翌日、俺は1人でALOにログインしていた。

目的はヴィレッタに接触し、説得すること。

昨日の内にアルセには俺がやる、と言っておいたのだ。やはり無理やりは良くない。

幸い、今日は予定が無いので1日中ログインすることができる。


「よお、ハンニャ。待ったか?」


「いや、問題ねぇ。暇潰しにはことかかないんでね」


と、言いつつ酒をガバガバ飲んでいる。……昼間っから飲むなよ。


「で、猫さんは今は何処を狩り場にしてるんだい?」

「この近くさ。腕の立つ新人が居るって情報をやったら昨日からプレイヤーを襲いまくりだ」

「……さては、その新人ってのは……」

「お前さんに決まってんだろ。ほら、速く行った行った。犠牲者が多くなる」

「原因お前だけどな!?」


頑張りや~……ゴクゴク。という非常に有難い声援を背にフィールドに出る。

遠目にはもう大魔法が炸裂する激しいライトエフェクトが見えている。


「……どこの魔神だよ」


よく見ると属性も様々だ。自属性以外の属性の魔法の習得は随分と難易度が高いらしいが……まあ、そこは流石最古参といったところか……。

ムラサメを腰に吊ると、爆音の方に向かって飛んでいく。

やがて、自分の身長ほどもあろうかという長い杖を振り回しながら地上を爆撃してるちっこい人影を見つけた。


「おーい、そこのメイジさん。その辺にしとけよ」


刹那、彼女はイラッとした顔をすると瞬時にこっちに魔法を放ってきた。それは動かずともかわすことができる軌道だったので、動かない。


「初対面だってんのにご挨拶だな」

「うるさいわよ、あんた。あたしは今、とってもイライラしてるの」

「君が狙ってるのは多分、俺だぜ?ヴィレッタ」


そう言うと、彼女は大きく目を見開き、にやりと獰猛な笑みを浮かべた。


「『刀一本、インプの凄腕初心者』……情報どうりね。よし、殺す」

「あー、待った。殺り合ってもいいんだが、条件がある」

「はぁ?何言ってんの、ハンデなんかつけないわよ。ここでは力が全て。死ぬのはあんたが弱いから。それだけよ」

「聞けよ、最後まで。……条件ってんのは、俺が君に負けたら、君は俺の仲間になることだ」

「意味不明すぎ。……あ、そう言うことか。セインが言ってたのお前か」

「そ。昨日はバックレられちゃったからね。今日はこっちから来たんだ。で、どう?」

「いいわよ、別に。負けないし」


そう言うと、杖でこっちを指し、雷撃を放ってくる。それを俺は刀で斬った。

ムラサメのエクストラ効果、《万象切断(クリエイション・エンド)》 は、ありとあらゆるもの、つまり魔法すら斬る。

斬られた雷撃は大きく俺を外れ、後方へ散った。


「へえ~、面白い刀持ってるじゃない。じゃ、これはどう?」


今度は頭上に巨大な氷塊が生まれ、俺に覆い被さってくる。

接触の刹那、俺は剣先を氷塊に突き刺し、ぐっと押し込んだ。

バッカアアァァン、という音がして氷塊が砕け散る。


「この!調子に乗るな」

「…………」

辺りの空気が歪んで突風を巻き起こす。それだけではない、そこへ僅かに火の粉が舞ってやがて、業炎の竜巻となる。四方を囲まれ、隙間に逃れることはできない。


そして―――


竜巻が一点に集中した。


「ふん、他愛も無いわね」


そういう彼女には疲労の色が見える。


が、しかし―――


突然、竜巻が消えるとそこから無傷の人影が出てきた。


「終わりか?」


戦闘開始から初めて発した声、それには興奮も、憤りも、冷たさも、何もなかった。

ただひたすらに、穏やかな声だった。まるで、労るように、慈しむように。


「………ッ!?なめないで!!」


さらなる大魔法。自身がもっとも得意な風系統の最強呪文。一般プレイヤーでは触媒無しには行使すら不可能な絶対の力。

空に雷雲が発生し、人間の知覚を越えた速さでレイに降り注ぐ。

だが、それさえも彼には効かなかった。

全ての落雷を刀で斬る。一本たりとも彼に危害を加えることは出来ない。


「……なんなの、何なのよ。あんた!!」


ガクッ、と体がぐらつく。疲労がピークに達していた。


()の世界では『紅き死神』、『レッド狩り』と呼ばれていた。ここでは……まだ無名だな」


……()の世界。そこが何処なのかは朧気に分かる。

HPが無くなれば死んでしまう世界。

……自分はこの世界で何回死んだだろうか……否、殺されただろうか。

当時の記憶は心の奥に封印して、忘れ去った。

残ったのはただ破壊を望む、虚無の感情。虚ろな意志。

突如として身を襲う『恐怖感』。視界が暗転し、落下する。


「俺はある理由によって、世界樹に登らなきゃならない。そこの攻略は困難と聞いた……頼む、君の力を貸してくれ」


――無理だよ。あたしは破壊することしか出来ない。誰かと一緒にやるなんて……出来ない。


「大丈夫さ。完璧な人間なんていない。俺も、少し前まで幻想の力に溺れて、自分の力を見誤ってた。君は自分の力をよく見ることが出来てるよ。それは立派なことだ」


――どんなに立派でも、関係ない。あたしは壊す。ただそれだけ。力が全てよ、何時の世も。どんな世界でも。


「それも1つの真理だ。有史以来、人間は武力で全てを解決してきた。平和的な方法を取っていても、結局最後は闘争で解決する。それは愚かなことだとは思わないか?」


――でも、あたしは身を以て知った。力が全てだと。あたしをこんなにしたやつらの憎悪を糧にそれを体現した。……あたしは、間違っていたの?


「怒りや憎しみで得た強さは悲しい力だよ。ただ、それも君の力。だから、《力が全て》という理念で強くなった君を誰も否定できないし、俺はしない。だから、間違ってない」


――じゃあ、あたしは、これからどうすればいいの?本当は、誰も、傷つけたくないのに……


「今度は誰かを助けるために戦ってみな。それはそれで気持ちのいいものだぞ。手始めに、俺達を手伝ってくれると助かる」

「………台無しよ、あんた」


どうやら、意識がとんでいたようだ。落下した森の中であたしは横たわっていた。


「ともかく、勝負は俺の勝ちってことで、約束は守れよ」


「あーもーいいわよ。手伝えばいいんでしょ、手伝えば。……そのかわり、ちゃんと話なさいよ。全部」

「ああ……」


それにしても何だか頭が寝心地のいいものに乗っている。

そして、何故この人はこんな至近距離で見下ろしているのだろう……………って!?


「あ、あ、あんた!!何やってるの!?」

「………?膝枕だが」


しゅたっ、と音がしそうな勢いで立ち上がると、ギロリと睨み付ける。


「な・ん・で、あんたに膝枕されなきゃいけないのよ!ていうかよく考えたら、あんたの名前知らないし!」

「固い地面に寝かせるのもあれだったしな。レイだ。よろしく」


わいわいがやがや。真っ赤になって殴りかかるヴィレッタに笑いながらそれをかわすレイ。そんな2人を微笑みながら眺める2つの影があったのは誰も知らない。








_____________________________________










予想より、早くに目的を達することができた俺は実家で沙良と組み手をしていた。

ALOがプレイヤースキル重視ということなら、現実世界での鍛練は無駄なことではない。ということだけでなく、リハビリも兼ねている。


「はぁ!!」


沙良が放つ強烈なローキックをバックでかわし、替わりに踏み込んで、掌底を肩口めがけて突き出す。

沙良はそれをはたき落とすと、視界から消えた。

慌てて頭部を腕をクロスさせて守ると、踵落とし――ではなく、仮面ラ○ダーの伝統的な決め技らしき(ちょっと違う)キックを見舞われる。


『水城流戦闘術・格技・亜式、天槌』


沙良が編み出した固有戦闘術だ。

ここで、『亜式』の説明をしておこう。『亜式』とは、簡単に言えば自分で作った技。その本人の特技を極めて技に昇華したものだ。ちなみに、その技系統の免許皆伝者のみが開発を許される。

沙良は『水城流戦闘術』により、瞬間的に対物破壊力を増加することで、パンチ一発、蹴り一発の威力を高めることができる。みそは重心移動らしいのだが、今の俺は出来ない。

で、今のラ○ダーキックはそれに重力加速度を加えている。必然、落下時間に比例して威力はあがるんだが……この間、最新鋭の巨大AI兵器のテスト機を一撃で壊したと聞いたのはきっと空耳だ。だいたい、人体がそんなものにぶつかったら、ただじゃすまない。……やりかねない化物がうじゃうじゃいるのがここなのだが。

仮にも、その噂が本当だった場合、人が食らえばただではすまな……って、やばい!?

架空の移動術『縮地』もかくや、というスピードでバックすると、轟音をたてて床が割れる。

マットを貫通して奥の木製の床をも割っているのが何とも非現実的だ。


「……殺す気ですか、沙良さん?」

「まさか受けようとするとは……危なかったです」


ガチで当たった時のことを考えてなかったぽい。


道場は広いといっても今は調度混んでいる。組み手はこれぐらいにして、地下のある施設に向かった。







________________________________________




水城家、地下エリア



――ここは水城家や国家が重要機密(特Ⅱ級)に指定されてる場所で、一般門下生は存在すら知らない。


傭兵派遣会社『サジタリアス』、裏社会では戦争屋として知られる大企業だ。

ただし、数ある戦争屋の中で『サジタリアス』はかなり浮いた会社だ。主に受ける依頼は『紛争鎮圧』もしくは『戦争抑止』。

戦争を根絶するために存在する平和組織なのだ。

ついでに言うと、『水城家が経営する』会社であって本家とは関係ない。会社は各国の軍部、国連と関係をもち、世界中に支部がある。

つまり、本家が目の上のたんこぶである水城家を潰せないのはこの会社のせいだ。

ところで何故ここに来たのかというと、蓮兄に呼ばれたからだ。

呼びつけた本人は射撃練習レーンでハンドガンを片手にお楽しみ中だった。

俺はハンドガンを1つ借りて、ろくに見もせず、蓮兄に向けて発砲した。

()()()()()、蓮兄のハンドガンに命中し、粉々に砕いた。


「おわ!?……って、螢か。悪かったから、銃口こっちに向けないでくれ」

「……………」


横に銃を向けると、蓮兄が撃ち漏らした的を残弾五発分全て撃ち落とす。顔は笑顔のまま、蓮兄に固定していた。


「……さっすがORG(Over Renge Guner)……現役バリバリ?」

「この程度なら出来るやつは世界規模ならたくさん居るさ。……そもそも専用銃じゃなきゃ精々20mが限界。で、何の用?」


おおそうだった、と言わんばかりに手をポンと打ち、笑顔で言う。


「護衛任務だ。クライアントは結城彰三氏」


『――任務だ。』辺りで断ろうとしたが、クライアントの名前を聞いて気が変わった。

当主以下候補者(三位を除く)には俺の知りうる全ての情報を共有してある。


「気を使わせたな……」

「なに、大した手間じゃない。クライアントも喜んでたぞ」


こっちも願ったり叶ったりの状況だ。仲間集めでちっとも進んでいなかった、黒幕の正体を入手するチャンスだからな……。


「いつだ?」

「明日、成田に迎えに行き、合流。本社に立ち寄った後、自宅で奥さんを拾い……お見舞いだ」

「……わかった」


キリトはもう会っただろうか……もし会ってなかったら、非常に悪い。まあ、そこはドンマイだ。許せ。

俺はその場を後にして、明日の準備をするために自室へ戻った。






 
 

 
後書き
この話を書いていて思うことは、『SAO小説のメインテーマとは何なのか』です。

VRMMOなのか、仮想世界と現実世界の違いなのか、人間ドラマなのか、登場人物の成長を描くのか、バトルなのか、それとも『人間とは?』という哲学的な物なのか?

多分ラブコメではないでしょう(笑)……個人的にはそれもたまにはいいですが。

二次小説とはそれに準じた方が『原作沿い』を掲げた手前、正しいのだろうか?

『新世界編』はオリキャラ達との出会い、そしてオリジナル編、アリシゼーション編(のオリジナル部分)のフラグを散りばめるために急遽製作しました。

読者の皆様の思う『これがSAOのメインテーマ』というのとはかけ離れた物になってしまうかもしれませんが、今後ともソードアートオンライン~黒の剣士と紅き死神~をよろしくお願いします。
 
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