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Jive

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第一章

               Jive
 一見すると真面目で素直で誠実そうに見える。
 けれど私は知っている、彼はそんな人間じゃない。
 焦ると何をするかわからないしそれで自分がしたことに対して一切責任を感じないし言われると自己弁護をする。責任転嫁も平気だ。
 そして適当なことを言って言われたことをしないで嘘だって吐く、どんなことをしても悪いとさえ思わない。 
 努力も勉強もしない、あれだけ酷い人間はこの会社にいらないと思っている。けれどこのことを知っているのは彼とこれまで一緒に仕事をしてきた私だけだ。不誠実でいい加減で嘘吐きで自分しかなくて責任把握能力もない、努力もしないので当然仕事は全く出来ない。けれど本当に一見するとだ。
 真面目で素直で誠実に見える、それで社内では信頼されている。そんな彼が課長から大事な仕事を一人で任されたが。
 私はその話を聞いて課長に言った。
「彼に仕事させたら駄目ですよ」
「いや、彼なら出来るよ」 
 何も知らない課長私に笑って答えた。
「真面目で誠実だからね」
「だからですか」
「難しい、会社にとって大きな仕事だけれど」
 それでもというのだ。
「彼ならだよ」
「一人で、ですか」
「やれるよ、大丈夫だよ」
 彼の素顔を知らずに私に笑顔で言ってだった。
 本当に彼に全部任せた、会社の誰もが彼にエールを送った。私は私で仕事を任されていたのでそれをしたが。
 彼を知っているので大変なことになると確信していた、そうして自分の仕事をしていったが見ると彼は何かよからぬ動きをしていた、そして。
 ある話を聞いてだ、課長は彼を自分の席の前に呼んで血相を変えて言った。
「プロジェクトの極秘情報をA社に流したというのは本当か!?」
「えっ、A社!?」
「うちの業界で有名な札付きじゃない」
「あんなとこにうちの極秘情報を流したら大変なことになるぞ」
「本当にそんなことしたの!?」
「嘘だろ」
「そしてあのプロジェクトをA社に譲ったのか」
「はい、だってあのプロジェクトうちが横から入って不正みたいでしたから」 
 彼は話を聞いてまさかと思った皆の前で平然として答えた。 
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