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活発な幽霊

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第一章

                活発な幽霊
 杉田英世は八十歳で突如心臓麻痺を起こしこの世を去った、だが。
 葬式が終わってすぐにだ、彼の家族は驚くことになった。
「えっ、お祖父ちゃん!?」
「お祖父ちゃん死んだのに」
「お葬式したのに」
「うむ、死んだ」
 英世は自分が出て来て驚く家族に胸を張って答えた、面長で皺だらけの顔で白髪を左から右に流している。背は一八〇程あり背筋もしっかりしている。
「しかし魂はな」
「ここにあってなんだ」
「幽霊になってなの」
「出て来たんだ」
「そうじゃ、まあそのうち成仏する」
 英世は家族に話した。
「だからそれまで家におってよいな」
「ここお祖父ちゃんの家だし」
「それじゃあな」
「いいかとかじゃなくて」
「ずっといていいよ」
「それじゃあね」 
「ではこのままいる」
 英世は家族、同居していた妻の雅と息子夫婦に孫娘二人との同居生活を続けた。身体はないが魂はそのままでだ。
 普通に家にいた、そして自分の遺影を見て言うのだった。
「自分の遺影を見ると複雑な気持ちになるな」
「だからお祖父さん死んでるのよ」 
 妻の雅は夫にこう返した、白髪頭で丸顔に穏和そうな顔の小柄な老婆だ。
「もうね」
「幽霊だな」
「そうよ、だからね」
「こうして遺影も見ておるか」
「そうよ、死んだのに成仏しないでね」
「幽霊になるとはな」
「それでそのままお家で暮らしているから」 
 だからだとだ、妻は夫に話した。 
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