いい大学を出ても

　　　　　　　　　　　　　　　　いい大学を出ても
　今花井未来は幻滅していた、それでだった。
　お見合いの話を持って来た叔母の常盤久美子に眉を顰めさせて言っていた。黒髪をロングにしていて優しい感じのおかめ顔で背は一五七程で色白で程よいスタイルだ。その優しい感じの顔を顰めさせて言っていた。
「あの、折角だけれど」
「お見合い駄目？」
「あの、お見合いの後でね」
　自分に瓜二つだが髪の毛は短く目尻に皺のある叔母に話した、叔母の姓が違うのは彼女が結婚しているからだ。
「一緒にご飯食べに行ったけれど」
「そうしたらなのね」
「定食屋のお店に入ってだったけれど」
「何かあったのね」
「あったから言うのよ」
　顔を顰めさせたまま言うのだった。
「お味噌汁飲んでね」
「お味噌汁？」
「飲んだ後のお碗に何したと思う？」
　叔母に問う様にして言った。
「一体」
「マナーが悪かったの」
「飲んだ後のお碗に痰吐いたのよ」
「えっ！？」
　そう言われてだ、瞬時にだった。
　叔母も顔を顰めさせた、そのうえで未来に言った。
「何それ」
「私見た瞬間思いきり引いたわ」
「お碗に痰って」
「私の目の前でね」
「そんなことする人いるの」
「私もこれまで見たことなかったけれど」
　そうした行為をする人間はというのだ。
「あの人ね」
「それしたの」
「ええ、もうそれ見てね」
「お見合いはなの」
「断わるって決めたから」
「わかったわ、そんな下品極まって」
　叔母も言った、顔を顰めさせたまま。
「気持ち悪い酷いね」
「とんでもないでしょ」
「そんなことする人と結婚してもね」
「駄目よね」
「ええ、断るべきよ」
「そうするわ」
「あの人国立大学出てるけれど」
　叔母は相手の学歴を話した。