| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

オズのボームさん

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九幕その三

「ありのままね」
「そしてそのありのままがだよ」
「善政だったんだよ」
「この上なくね」
「それが如何にいい時代だったか」
 ムシノスケ教授は床にモップをかけながら言いました。
「今でも懐かしいと思う位だよ」
「懐かしいんだ」
「そう、いいことが一杯あったとね」
 教授は魔法使いににこりとしてお話しました。
「そうね」
「懐かしいっていうと」
「そう、いいことだったからだね」
「悪いことは懐かしいと思わないからね」
「逆に忌まわしいと思うね」
「その様にね」
「私は魔法使いさんの頃は小さかったけれど」
 今と違ってです。
「普通のバッタでね」
「その時に感じていたんだ」
「うん、いい場所だとね」
「そして今はいい時代となんだ」
「思っているよ」
 懐かしんでというのです。
「そうだよ」
「そうなんだね」
「全くだよ」
「そしてーーです」 
 チクタクはロイヤルブックを開きました、お掃除の合間にお話を聞いて少しそうしてみました。そのうえで言うのでした。
「魔法使いさんのーー後ーーは」
「かかしさんが少しの間統治者だったね」
 本を運ぶ腹ペコタイガーが言ってきました。
「そうだったね」
「そうーーでしたーーね」
「その頃もね」
「いい時代ーーでしたーーね」
「そうだよね」
「私はーー知りませんーーが」
 その頃チクタクはまだオズの国にいなかったからです、ドロシーに砂浜で見付けてもらうまで縁もありませんでした。
「しかしーーです」
「本にあるからね」
「このーーロイヤルブックーーに」
「そうだね」
「そうしてーーですーーね」
 チクタクは本を閉じてでした。
 本棚に入れてです、それからまた言いました。
「かかしさんーーのーー後は」
「オズマ姫の統治だね」
「今もーーですねーーね」
「そうなっているね」
「そうーーですーーね」
「オズマ姫の統治がはじまって長いけれど」
 腹ペコタイガーはしみじみとして言いました。
「ずっとね」
「いいーー時代ーーですーーね」
「そうだね」
「その間色々な人が来たね」
 ドロシーの足下で彼女のお手伝いをしているトトが言ってきました。
「オズの国に」
「そうよね」
「僕達も戻ってきてね」
 ドロシーにもこう応えます。
「そうしてね」
「今ここにいる多くの人達もね」
「来てね」
「私も戻ったしね」
 魔法使いも言ってきました。
「そしてだよ」
「そうしてよね」
「様々な素晴らしいものが生まれて」
「色々な人や文化も出て来て」
 そうしてというのです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧