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塩分控えめ

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第一章

                塩分控えめ
 山本恵美は通っている病院の身体測定で血圧が高いと出た、それで同居している娘の穂香にこのことを話した。
「お母さんも歳ね」
「歳ってまだ六十じゃない」
「もう六十よ」
 顎の先が尖って皺が目立ってきている顔で言った、大きめで穏やかな目に細い眉で短めの白いものが混じっている黒髪にはパーマを当てている。背は一六〇位で痩せている。
「お父さんも六十五じゃない」
「今だとまだまだ若いでしょ」
「そうかしら」
「八十年だしね、人生」
「それでなのね」
「まだこれからよ」
 こう母に言った、黒い髪の毛を長く伸ばしていてだ。
 後ろで束ねている、母と同じ顔の形で目も繭もそっくりだ、だが背は母より十センチは高くスタイルもいい。
「だから高血圧なら節制よ」
「そうしたらいいの」
「それだけよ、じゃあ塩分控えめにして」
 料理はというのだ。
「運動もね」
「していくのね」
「そうよ、毎日歩いてね」
「お仕事するだけじゃなくて」
「それで塩分はよ」
「控え目ね」
「それでいきましょう」
 こう話した、そしてだった。
 穂香は料理全体の塩分を減らした、それもかなり。
 それでだ、同居している父の剛史眼鏡をかけた長方形の顔に引きしまった口元に白い七三分けの一八〇近い背の彼も夫の公夫優しい顔立ちで一八〇以上の背の太めの彼もだ。
 穂香にだ、こう言った。
「最近お料理の味薄過ぎないか?」
「お醤油かなりかけないと食べられないよ」
「だってお母さんが高血圧だから」
 穂香は二人にバツが悪そうに返した。
「それでよ」
「それは知ってるけれどな」
「あまりにもね」
「そこは我慢して、自分でお醤油とか使って」
 かく言う穂香も味噌汁に醤油を入れて飲んでいる、彼女にしても薄過ぎると感じているのだ。 
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