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スピリチュアルを一気に

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第一章

                スピリチュアルを一気に
 その居酒屋に入ってだった。
 大学生の興津十輝は即座にこう言った。
「じゃあ千五百円ずつ払ってな」
「二人で飲み放題ね」
「そうしような」
 交際相手の同じ学部の池田すみれはっきりした大きな横に切れた感じの目と細く黒い整った長い眉に赤い色気ある唇と形のいい鼻と顎に長い黒くセットされた髪と一六〇程の背で胸がやけに目立つ彼女に対して言った。興津は穏やかな感じの長方形の顔で茶色にした髪を茸の様な神型にしている、痩せていて背は一七七程だ。
「今日は」
「けれどお店の入り口に書いてるわ」
 すみれば店のカウンターの傍の貼り紙を見て言った、店は和風の個室居酒屋である。
「スピリチュアル一杯飲めたらね」
「飲み放題ってな」
「だからね」
「スオイリチュアルってアルコール度九十七だぞ」
 興津はすみれに貌を顰めさせて言った。
「だからな」
「飲めないのね」
「俺はお酒蒸留酒駄目なんだよ」
 即ち強い酒はというのだ。
「ウイスキーとか口付けてもな」
「駄目なの」
「身体が受け付けないんだよ」
 それで飲めないというのだ。
「だからな」
「それでなの」
「ああ、素直に千五百円払って」 
 そうしてというのだ。
「飲み放題飲むな」
「そうするのね、じゃあ私はね」
 すみれは自分はと答えた。
「挑戦してみるわ」
「スピリチュアル飲んでか」
「それからね」
「飲み放題か」
「スピリチュアルも飲んだらただみたいだし」
 見れば飲み干せたらとそう書いてある。
「だったらね」
「どうなっても知らないぞ」
「それでもやってみるわ」
 すみれの言葉は変わらなかった、それでだった。
 二人は部屋に入るとそれぞれまずは食べ放題を注文し。
 興津は飲み放題をいいすみれはスピリチュアルに挑戦すると言ったが。 
 若い女性の店員は彼女に驚いて聞き返した。
「本当にそうされますか?」
「はい、お願いします」
「当店はどうなっても責任持てませんので」
「わかりました」
 何でもない口調でだ、すみれは応えた。そうしてだった。
 肴が早速運ばれてきてだった。 
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