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ヘビースモーカーの苦悩

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第一章

                ヘビースモーカーの苦悩
 サラリーマンの松本哲夫は煙草が大好きだ、仕事の合間にいつも喫煙所で吸っている。食後は欠かさず家でもだ。
 緑なす黒髪をセットしていて明るい目と口元でやや細面で背は一七三程で均整の取れたスタイルだ。趣味はその煙草に酒に読書とオンラインゲームだ。
 オンラインゲームでは課金はせず酒も安いものだ、だが。
「金貯まらねえんだよな」
「煙草吸い過ぎだからでしょ」
 同期の池田花火が突っ込みを入れてきた、明るい顔立ちで黒髪をおかっぱにしていて左の部分を括っている。背は一五五程でスタイルはそこそこだ。
「一日どれだけ吸ってるのよ」
「三箱しか吸ってねえよ」
「三箱って多過ぎでしょ」
 花火は哲夫に突っ込みを強くした。
「幾ら何でも」
「普通だろ」
「普通じゃないわよ、昔の漫画家さんじゃないんだから」
「小説家も吸ってたぞ」
「同じよ、兎に角吸い過ぎよ」
「一日三箱でか」
「やたら喫煙所に行ってると思ったら」
「吸わないとやっていられるか」
 哲夫は怒った顔で言った。
「俺はな」
「生きていけないの」
「部屋に帰ったら風呂とトイレとな」
「ご飯の時以外はなの」
「吸ってるよ、しかしちゃんとマナーは守ってるぞ」 
 喫煙のそれはというのだ。
「本当にな」
「だからいいっていうのね」
「別にお前にも迷惑かけてないでしょ」
「それはね、けれど健康には気をつけなさいね」
「健康に気をつけて吸っていられるかよ」
 こう言ってだった。
 哲夫は煙草を吸い続けた、だがその彼にだ。
 お見合いの話が来た、その相手はというと。
「えっ、旧家のお金持ちの娘さんで」
「物凄い美人で優しくて家事も出来る完璧超人なんだよ」 
 哲夫は会社で花火に満面の笑みで話した。
「しかも俺に一目惚れで俺もその娘にな」
「お見合いしてなの」
「もうこれしかない、運命の赤い糸をな」
 それをというのだ。
「確信したぜ、だからな」
「その人となのね」
「結婚するぜ、何があってもな」
「まああんた煙草以外は問題ないしね」
 花火は哲夫の話を聞いて述べた。
「仕事は真面目だしお金かかる趣味もないしね」
「だからか」
「品性もそれなりだしね」
 同期同士では砕けた口調だがそちらも問題ない。
「だからね」
「そうした娘と結婚してもか」
「大丈夫よ、お仕事も家庭も頑張ってね」
「有り難うな」
 笑顔で応えた、だが。 
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