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失ってはいけない命といてはいけない命

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第二章

「実はうちの姑がです」
「お祖母ちゃんが反対しまして」
「それで捨ててこいと言って」
「私達も捨てたんです」
「主人もどうしようもなくて」
「お祖母ちゃん毎日物凄くミヤに怒って怒鳴ってヒステリー起こして喚きちらして」
「それで、ですか」
 麻里子は穏やかそうな外見と顔立ちの母娘の話を聞いて言った。
「あの娘を捨てたんですか」
「そちらに帰すと言いましたが」
「お祖母ちゃん人の話を全く聞かなくて」
「もうすぐに捨ててこいと言って」
「家の中のもの外に投げ散らかす位暴れて」
「そのお姑さん今おられますか?」
 麻里子は反対している彼女の所在を尋ねた。
「一体」
「遊びに出ています」
「お祖母ちゃん普段家事しないで遊んでばかりなんです」
「家事をしたら不平不満ばかりでしてやってるで」
「もう何もしないんです」
「あの娘を飼うのも最初は言わなかったんですが」
「後で騒ぎだしたんです」
 二人でその老婆のことを話した。
「それで今はいません」
「お家にも」
「そうですか、事情はわかりました」 
 麻里子は二人の話を聞いて頷いた。
「幸いあの娘はまた保護されて里親を探しますが」
「そうですか」
「ミヤ助かったんですね」
「いい人に貰われる様に思ってたんですが」
「保健所にいたんですね」
「そうです、命ですから」
 二人に厳しい声でこのことを話した。
「二度とこんなことはしいないで下さい」
「そうします」
「これからは」
「そして家族にそうした人がいるので」
 さらに厳しい声で話した。
「もうこちらのお家では里親を受け付けません」
「わかりました」
 二人も項垂れて頷くしかなかった、そして。
 ミヤは今度は家族全員が確かな家に貰われることになった、そして。
 彼女の最初の家はどうなったかというと。
「あの後すぐにですか」
「そう、お姑さん何でもないことでご主人と喧嘩してね」
 麻里子は自分が勤務している病院で若い看護士に話した、この看護士も同じ団体で活動している。
「お家のお金を自分を悪者にしている家族を苦しめる為に全部よ」
「全部ですか」
「持って行って家出したのよ」
「とんでもないことしますね」 
 看護士は麻里子の話を聞いて呆れた顔になった。
「そんなこと相当性格悪くないとできないですよ」
「そうよね」
「それまでのお話を聞いていても」
 それだけでもというのだ。
「とんでもなく自己中心的で自堕落でヒステリックで」
「おかしな人ね」
「そうですよね」
「それで家出したけれどこれまでも何度もそうしたことがあったらしいのよ」
「喧嘩しての家出が」
「家のお金全部持ってね」
「常習犯だったんですね」
 このことにもだ、看護士は呆れた。 
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