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勝てる筈がない

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第一章

                勝てる筈がない
 高校生の芥修治はかつての日本軍について興味を持っていた、興味を持った理由は至って普通のことだった。
「そういえばお前プラモデル好きだったな」
「だから部活もなんだよ」
 芥は小学校から高校までずっと一緒の親友森川悟郎に話した。丸い目で黒髪を茸カットにしていて刈り上げをしている、細面で痩せた顔でかなり白い肌はやや不健康な感じだ。背は一七〇程で痩せていて唇も薄い
漢字だ。
「プラモ部なんだよ」
「そうだよな」
「うん、そういう自分はだよね」
 芥は森川に言った、黒髪を丸坊主に近い感じにしていて一八〇近い背で顔も身体も太っていて丸眼鏡の彼に。二人共体格は違うが黒い詰襟の高校では今では少数派の制服が似合っている。
「シュミレーションゲームが好きで」
「軍事研究会だよ」
「そうだよね」
「ああ、それでお前今度はか」
「日本軍の兵器のプラモデル作っていてね」
 それでというのだ。
「日本軍にもね」
「興味持ったんだな」
「自衛隊とは違うよね」
 芥は森川に今の彼等のことも尋ねた、同じクラスなので彼の席の前に来て座って気軽に話をしている。
「やっぱり」
「それはな」
 森川は芥に真面目な顔で答えた。
「時代が違うし成立した過程がな」
「違うからね」
「だからな」
 そうした事情があってというのだ。
「自衛隊とはな」
「昔の日本軍は全く違うね」
「陸軍も海軍もな」
 両方というのだ。
「違うよ」
「そうだよね」
「ああ、しかもな」
「しかも?」
「変な奴が色々言ってるしな」
「ああ、僕も聞いてるよ」
 それはとだ、芥は森川に答えた。
「虐殺したとか慰安婦とか」
「生体実験とかな」
「けれど調べたらだね」
「ほぼ全部出鱈目だったからな」
「そうだよね」
「それでその出鱈目を全部合わせたらな」
 森川はさらに話した。
「これが凄いんだよ」
「どう凄いのかな」
「それを知りたかったら軍事研究会に来い」 
 自分の所属している部活にというのだ。
「そうしたらわかるからな」
「そうなんだ」
「ああ、お前今日暇か」
「部室には顔を出すよ」
「それでも時間あるか」  
「どうしても話したいのかな」
「だから凄いからな」 
 それでというのだ。
「自分にも知って欲しいんだよ」
「それでなんだ」
「ああ、ちょっと時間を作ってな」 
 部活に顔を出してもというのだ。
「来てくれるか、こっちにも兵器の写真あるしな」
「プラモデルの資料にもなる」
「自分これまでアニメモデル派でな」
 芥がこれまで作ってきたプラモデルの話もした。 
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