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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第四幕その十

「岡本さんは千葉さんとお友達だったんだよ」
「へえ、そうだったんだ」
「大阪の名所のあれもなんだ」
「千葉さんと縁があるって言うとあるんだ」
「近鉄の監督をしていた千葉さんが岡本さんのお友達だから」
「そうだったんだね」
「そうだよ、街で擦れ違った時にお互いに聞いて」
 そしてというのです。
「お付き合いがはじまったんだ」
「成程ね」
「面白い出会いだね」
「街で擦れ違ってからなんて」
「これまた」
「お互い初対面だったけれどお互いのお顔は知っていて」
 そうしてというのです。
「岡本さんか千葉さんかと聞いてね」
「お互いにだね」
「そうしてだね」
「それからお付き合いがはじまって」
「一緒になったんだ」
「そうなんだ、それでその岡本さんが大阪の万博の塔を造ったからね」
 それでとです、先生歯笑ってお話しました。
「面白い縁だよね」
「全くだね」
「世の中そんなこともあるんだね」
「いや、世の中不思議だね」
「出会いって」
「神様が巡り合わせているからね」 
 それでというのです。
「そうなるんだよ」
「出会いの不思議さを考えると」
「神様は存在するね」
「偶然では説明出来ないよ」
「本当にね」
「よくもし、とかたら、とかれば、はないっていうけれど」
 それでもというのです。
「あの時あの人に出会ったからって多いね」
「人間ってね」
「そして生きものもね」
「僕達も先生出会ったからだしね」
「もし先生に出会えていなかったら」
「先生と出会えたから」
「先生と出会っていなければ」 
 皆も口々に言います。
「本当にね」
「そうだからね、僕達も」
「一体どうなっていたか」
「少なくとも今みたいに幸せじゃないよ」
「ふわりもそうだね」
 今は幸せに暮らしているトイプードルのこの娘もというのです。
「今のご家族が彼女のことを知っていててね」
「前の碌でもない飼い主達に保健所に捨てられたって聞いて」
「すぐに助けてもらったからね」
「今の幸せがあるね」
「そうだね」
「以前に出会っていたから」
 今の飼い主達にというのです。
「だからね」
「それでだよね」
「本当にね」
「今の幸せがあるね」
「そうだね」
「そしてふわりとの出会いを捨てた前の飼い主達は」
 彼等のお話もするのでした。
「もう廃人だよ」
「自分達の子供も飼育放棄して」
「それで親権放棄させられて」
「そこから禁治産者になってお仕事もなくなって」
「今じゃね」
「酒浸りでだね」
「生活保護は受けてるからそのお金でね」
 それでというのです。 
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