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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第三幕その二

「ここは見たら蛇みたいにくねっているからね」
「ああ、だからだね」
「ここは口縄坂っていうんだ」
「こっちじゃ蛇を口縄とも言うから」
「頭があって細長いから」
「そうだよ、蛇はくねっているからね」
 それでというのです。
「そう呼ぶんだ」
「そうなんだね」
「だからここは口縄坂ね」
「くねった坂道だから」
「その名前になったんだ」
「そうだよ、それでここがね」
 坂を降りたそこにでした。
 碑がありました、その碑を皆に紹介しました。
「これが織田作之助さんの記念碑だよ」
「そう書いてあるね」
「何か文章が書いてあるね」
「これ何かな」
「何の文章かな」
「この人の作品の一つ木の都の一文だよ」
 それだというのです。
「ここを書いたからね」
「だからなんだ」
「それで記念碑が置かれているんだ」
「そうなのね」
「丁度この場所を書いたから」
「そうなんだ、それでね」
 先生はさらに言いました。
「この記念碑があるんだ」
「まさにここで生まれ育った」
「それでよく来たから書いたんだ」
「この口縄坂のことも」
「そういうことだね」
「そうなんだ、この記念碑は目立たないかも知れないけれど」
 それでもというのです。
「そうした場所ということでね」
「うん、覚えておくよ」
「私達もね」
「先生のフィールドワークにもなっているし」
「そうさせてもらうね」
「お願いするよ」
 先生は笑顔で応えました、そしてです。
 さらに次の場所に向かいました、今度はです。
 神社に来ました、ここでまた先生は言いました。
「ここは生圀魂神社というんだ」
「ここも織田作之助さんに縁があるんだ」
「そうした場所なんだ」
「どういった場所かっていうと」
「そうなんだね」
「そうだよ、ここもね」
 この神社もというのです、木々が沢山ある静かなこの場所も。
「織田作之助さんがよく来たんだ、子供の頃によく遊んだそうだよ」
「へえ、ここを遊び場にしてたんだ」
「子供の頃の織田作之助さんはそうしていたんだ」
「ここによく来て遊んでいたんだ」
「そうだったんだ」
「そうだよ、子供の頃の織田作之助さんがね」
 先生は暖かい目でその緑が多い落ち着いた場所を見回しながら言うのでした、見れば遊んでいる子供達もいます。
「遊んでいたんだ」
「子供の頃の織田作之助さんがいた」
「まさにそうした場所なんだ」
「そしてここにはもう一つあるんだ」
 先生はこうも言いました、そして。
 今度はある銅像の前に案内しました、帽子を被って着流しの上からマントを羽織ったブロンズ像です。その銅像はといいますと。
「これが織田作之助さんの銅像だよ」
「へえ、銅像もあったんだ」
「それもこの神社に」
「まさか銅像もあるなんてね」
「思わなかったけれど」
「大阪文学の重要な人だからね」
 だからだというのです。 
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