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日本の不良

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第三章

「買ったの」
「そうなの」
「ただヨーヨーもチェーンも使わないわ」
 持っていてもというのだ。
「私喧嘩はしないから」
「あくまでファッションね」
「ええ、それだけだから」
 こう言うのだった。
「それだけよ」
「あくまでファッションってことね」
「そう、しかし何でなの?」 
 リーファは悠に問うた、かなり急な感じで。
「昔の日本の不良って服の丈長かったの?」
「応援団真似たかもね」
 悠は自分達の学園には今もある彼等から話した。
「応援団って詰襟で長ランでしょ」
「皆そうよね」
「あれは挨拶する時に深々と頭下げて」 
 そうしてというのだ。
「その時にお尻が見えない様にね」
「服の丈が長いの」
「学生服のね、そうみたいよ」
「そうだったのね」
「それで髪型は昔のアメリカで」 
 そちらの話もした。
「リーゼントとかパーマはね」
「あちらの影響ね」
「お洒落でね、マスクは何でかわからないけれどこれもお洒落で」
 不良のそれでというのだ。
「してたみたいよ」
「そうなのね」
「昔は昔でね」
 それでというのだ。
「そうした格好だったのよ」
「そうだったのね」
「今はアメリカのストリートにいる様な」
「ああした感じね」
「そう、不良の恰好にも元と流行があるのよ」
「成程ね、スカートが長い理由もわかったわ」
 リーファは自分が今穿いているセーラー服のそれを見て頷いた。
「こちらもね、ただ不良の服はよくても」
「それでもなの」
「ブルマは嫌ね」
「それ私もだから。あれはないわ」
「うちの体操服にもないしね」
「それじゃあね」
 こちらの服にはこう話してリーファも着なかった、だがそれから暫く彼女は昭和の不良のファッションを続けた。そしてそれが学園の海外から着ている生徒達の間で密かなブームとなったのはまた別の話である。


日本の不良   完


                    2022・1・19 
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