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食べ残さない

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第二章

 雑炊も食べる、だが。
 真理華は満腹になった、それで彼もだった。
「もう限界?」
「いや、まだいけるよ」
 こう言うがだった。
 明らかに苦しそうだった、それで彼に言った。
「無理しなくてもいいのよ」
「いや、残したら駄目だから」
 谷田は必死の顔で言葉を返した。
「絶対に」
「それでなの」
「全部食べるよ」
「そうするの」
「残さないよ」
「本当に残すの嫌なのね」
「絶対にね」
 こう言いつつ食べてく。
「だから全部食べるよ」
「水炊きも全部食べて」
「雑炊もね、無理をしてでもね」
「もうかなり無理してない?」
「だって勿体ないから」
 こうも言うのだった。
「それでね」
「全部食べるの」
「意地でも」
 その苦しい顔で言ってだった。
 谷田は雑炊を米一粒残さず食べ終えた、そうしてから言った。
「終わったよ」
「本当に全部食べたわね」
「うん、この通りね」
「まさか本当に食べるなんて」
 真理華は驚きを隠せない顔で述べた。
「凄いわ」
「だから残すことはしたくないから」
 絶対にというのだ。
「何があってもね」
「食べたのね」
「そうしたよ、今回もね」
「その心意気凄いわ」
「褒めてくれるんだ」
「私も食べ残すのは勿体ないって思うしね」
 真理華にしてもこの考えは同じだった、それで谷田の今の行いに頷けたのだ。
「だからね」
「そうなんだね」
「ええ、じゃあ今はゆっくりしてね」 
 たらふく食べたからだというのだ。
「そうしてね」
「そうしていいかな」
「沢山食べた後はその方がいいから」
 休んだ方がというのだ。
「そうしてね」
「じゃあお言葉に甘えて」
 谷田は横になろうとした、そこで真理華は彼にベッドに入る様に言った。すると彼はその言葉にも従った。すると彼はすぐにベッドの中で高いびきを出した。真理華はそんな彼を見て自然と笑顔になった。


食べ残さない   完


                    2021・12・26 
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