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星河の覇皇

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第七十九部第三章 不測の事態その四十四

「今まさに」
「そうですか、だからですか」
「ジャバル副主席には執念があり」
「また多くのものを得ようとしていますか」
「連合からも。そして」
「その得たもので、ですね」
「彼は多くのものを為します、マウリアを発展させて」
 そうしてというのだ。
「アウトカースト層もです」
「多くのものを得る」
「そうしていきます」
「それがジャバル副主席の望みですか」
「そうだと思います、連合でも差別はあります」
 平等を謳っているこの国でもだ、それぞれの国や地域で多数派と違う者達を遠ざける傾向があるのは人類社会の宿啞の一つだ。
「しかしです」
「マウリアは制度として存在していて」
「連合は法的にも宗教的にも差別を認めていません」
「しかしマウリアはですね」
「両方で差別されています」
 そうなっていることを言うのだった。
「ですから」
「そこは、ですね」
「我々とは全く違います」
 連合とは、というのだ。連合の中のあらゆる地域とだ。勿論各国もその中に含まれていることは言うまでもない。
「そこは」
「両方で制度化されているとなると」
「どうしてもです」
「非常に強くですね」
「差別が行われます」
「だからこそですか」
「ジャバル副主席の怨念は強いです」
 アウトカースト層のそれはというのだ。
「ですから」
「ジャバル副主席は、ですね」
「手段を選ばないです、しかも求めるものも大きい」
「ただアウトカースト層の権利獲得ではなく」
「マウリアを自身の理想の国にする」
「そこまで考えておられますね」
「だから我々にも仕掛けます」
 連合に対してもというのだ。
「ですから危険です、我々の不利益になるので」
「技術を盗まれるので」
「それを防ぎます、しかし」
「しかし、とは」
「マウリアに恐ろしい傑物が出ましたね」
 ジャバルがその傑物だとだ、八条は認めて述べた。
「しかも連合にとって時として敵となる」
「今は主に敵になっていますね」
「しかし味方にもなる場合もあるでしょう」
「あくまでマウリアの基準で、ですね」
「動いています」
 もっと言えばアウトカースト層の為にだ、ジャバルには実は私利私欲は乏しい。それよりもマウリアとアウトカースト層を見ているのだ。
 それを見抜いているからだ、八条も言うのだ。
「最も恐ろしい敵は何か」
「有能な敵といいますね」
「しかも志があり私利私欲のない」
「そうした敵がですか」
「最も手強いです、味方であれば頼もしいですが」
 それが逆になればというのだ。 
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