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護法

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第二章

「はい、護法童子を送り」
「帝の病を治してくれるか」
「そうしましょう、ではこれより」
「その護法童子をか」
「出します」
 こう言ってだった、命蓮は加持祈祷をする様な場を組みそこで一心不乱に唱え手を合わせだした。使者はそれを見届けていて。
 どうなるかと思っていたが。
 数日後都から早馬が来て彼に言ってきた。
「朗報です、帝はです」
「朗報というと」
「はい、無事にです」
「治られたか」
「左様です」
「ううむ、それでは」
「命蓮殿のお陰です」
「この寺におられながら」 
 使者はその話にまさかと思いつつ述べた。
「そうしてくれたか」
「その様です」
「では命蓮殿にな」
「帝は褒美は思いのままとのことです」
「そのこと命蓮殿に確かにお伝えしよう」
 こう言って実際にだった。
 使者は命蓮にこのことを話した、すると彼は笑顔で言った。
「帝が治られたことは拙僧もです」
「知っていたか」
「護法童子が知らせてくれました」
「そうであるか」
「はい、そして褒美はです」
 帝の言われるそれはというと。
「拙僧はいりませぬ、そこまでのことはしておりませぬ」
「いや、帝の病が治ったのは事実故」
「それで、ですか」
「遠慮せずな」
「受け取れと」
「思いのまま、何でもな」
「そこまで言われるなら」 
 命蓮はある経典を言った、それが褒美となった。
 使者は帝に命蓮のことを申し上げる為に都に戻った、すると帝は実際にだった。
 元気になられ床から出られていた、それで使者は帝の座におられる時に述べた。
「その様にです」
「わかった、ではその経典をな」 
 帝も快く応えられた。
「信貴山に送ろう」
「さすれば」
「して朕の病のことであるが」
 帝はご自身から言われた。
「そのことはな」
「治られていますが」
「うむ、床に伏している時に寝ているとな」
 その時にというのだ。 
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