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健康なせいで

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第六章

 そのうえでだ、マネージャーにウーロンハイを飲みつつ話した。
「今度こそですね」
「アイドルのだね」
「お仕事お願いします」
「歌にグラビアだね」
「コンサートも開きたいですから」
 アイドルとしてというのだ。
「ですから」
「だからまた言ってみるんだね」
「そうします」
 自分の志望は変えなかった、そうしてだった。
 実際に次の日に八条に直談判しようとした、だが。
 八条は彼女が言う前に自分の席から遠くを指差して言った。
「時は来た!」
「時?」
「アマゾンに行ってくれ!」
 こう里穂に言うのだった。
「地球最大の秘境にな!」
「ですから私アイドル志望なんですよ」
 里穂は泣きそうな顔で応えた。
「それでまたですか」
「今度はアマゾンだ」
 そこだというのだ。
「そこに行ってくれ」
「アマゾンに行って何するんですか」
「テレビのアマゾン特集のレポーターだ」
 それだというのだ。
「大丈夫だ、別にアナコンダやジャガーに単身挑めとかいうんじゃないからな」
「あそこ他にも危険な生きもの一杯いますよね」
「近寄らないしテレビ局や現地の人達もいるから大丈夫だ」
「安全は、ですか」
「十二分に保障されるからな」
 そちらの手配はしているというのだ。
「だからな」
「安全なことはですか」
「信頼してくれ、ではだ」
「今度はアマゾンですか」
「行ってくれ」
「これじゃあ完全に冒険家タレントじゃないですか」
「言っただろう、お前はイモトさんの後継者になるんだ」
 やはり明るい声での言葉だった。
「お前ならなれる、そしてその道を確実に歩んでいるぞ」
「そうですか」
「ではいいな」
 一も二もない言葉でだった。
 八条は里穂をアマゾンに送り出した、そして。
 アマゾン川のデンキウナギを見ながら彼女はマネージャーに言った。
「マネージャーさんも一緒ですね」
「マネージャーだからね」
 当然という返事だった。
「当然ね」
「そうなんですね」
「頑張っていこう、君はもう日本で知らない人はいないから」
 そこまで有名になっているというのだ。
「何処でも元気で笑顔で行くってね」
「それで人気ですか」
「そうだよ、だからね」 
 それでというのだ。
「これからもだよ」
「行けばいいですか」
「そうしていこう、そして」
 彼はさらに言った。
「何でも社長南極も考えているからね」
「今度はそっちですか」
「あとモケーレムベムベとか観ることもだよ」
 アフリカにいるというこの未確認動物をというのだ。 
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