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地味な義姉は

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第四章

「これはもうね」
「敵わないっていうのね」
「とてもね」
 法事の間ずっと注目されている義姉を見て心から思った、それで法事が終わって暫くしてからだった。
 兄に言われてだ、昭子は再び仰天した。
「義姉さんって大学のミスコンでなの」
「ああ、四年連続でな」
 兄は妹に話した。
「優勝してたんだよ」
「そうだったの」
「凄いだろ」
「あれだけ奇麗ならね」
 法事の時を思い出しながら言った。
「もうね」
「当然か」
「だって無茶苦茶美人だから」
「そうだろ、けれどな」
 兄は驚いてから納得した妹に話した。
「結婚してからはな」
「ああしてなの」
「大学の時も外出の時以外はな」
「ああなの」
「オンとオフの差が凄いんだよ」
「そうなのね」
「だからな」
「家ではなの」
「いつもああなんだよ、けれどな」
「オンになったら」
「ああなるんだよ」
 法事の時の様にというのだ。
「そうなんだよ」
「成程ね」
「お前地味だって言ってただろ」
「ずっとね」
「けれどな」
 それはというのだ。
「それは違うからな」
「義姉さん実はなのね」
「ああ、そうした人もいるんだ」
「そういうことね」
「お前のお洒落もいいけれどな」
「上には上がいて」
 昭子は自分から言った。
「それでオフからオンで一気に変わる人もいるのね」
「そういうことだ、それで性格は折り紙付きだな」
「家事もハイスペックだし」
「なら文句はないな」
「ないどころか尊敬するわ」
「それならいい、じゃあな」
「もう地味とか言わないわ」
 兄にこのことを約束した、そして実際に昭子は以後穂香を尊敬する様になった。自分よりずっと奇麗でかつハイスペックな身近な女性として。


地味な義姉は   完


                  2021・10・23 
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