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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第二百六十六話

2月も初旬である。

冬休みは姉さんが帰ってきたり、俺と箒と姉さんでちょっと密入出国して西サハラとドイツに行った。

ロリsもローレライ姉妹も元気そうで何よりだった。

ただ一つムッとする事があった。

それはあやつらと更に身長が離れたことだ。

どうも束さんが成長剤を飲ませてるっぽい。

害はないからいいけどさ。

大人組…束さんやシルヴヴァインの面々、連槍の二人も変わりないようだった。

まぁスコール以外気功使えて老化が遅いのでそうそう変わりはしないから当たり前か。

西サハラ開発計画は順調だ。

俺達の拠点としてはまだまだ完成は遠いが人の住める環境という意味では十分だろう。

国家として認められるとは思えないが一応国名と首都名が決まった。

国名はカンヘルの土地という意味でカンヘリア。

首都はセルピヌスの土地を意味するセルピニシア。

カンヘルとは聖書亜種にて神に創られ神の天地創造を補助したとされる4柱の竜の姿をした天使で俺のISの名前でもある。

セルピヌスとは前述の天地創造の後に新たに創られ全ての天使に祝福を与えたとするカンヘルの名前だ。

とはいえどれだけ国名、国土、法を揃えようと肝心の国民がいなければシーランド公国と同じような物だ。

現状カンヘリアはシルヴヴァインをはじめとした二十人前後しかいない。

それだけの食料しか生産できないのである。

日本政府と契約を交わした物の食糧プラントの建造が間に合ってないので難民の受け入れはまだまだ先になるだろう。

その難民輸送船も順次建造中である。

とりあえず海空宙を航行できる汎用輸送艦である点に目をつけてプトレマイオスⅡ級を建造中だ。

ディーヴァとかアマデウスも候補にあったが上下がはっきりしている、GN系技術を流用可能などの理由からプトレマイオスⅡを採用した。

既にプトレマイオスⅡ級は5番艦までが完成している。

今は6から10番艦までのセカンドロットを建造中。

1ロット5隻なのは地下ドックの都合だ。

地下港とドックの数も限りがあるのでプトレマイオスⅡの建造は十隻で中断する。

地下港も地下ドックも空いてないので伊号400型改〈初〉トレイターは地上港に停泊している。

難民の受け入れが無ければプトレマイオスⅡではなくトレイターの後継艦を量産していただろう。

だってISの運用なら伊号400型改で十分だし。

まぁ、プトレマイオスⅡ級なら現行戦闘機と同サイズの航空機乗せれるからいいんだけどね。

一方優先度の低いアルカナムプロジェクトはあんまり進んでない。

全く進んでない訳でもないが建造スペースが無い。

肝心のミラーレイヴ用コアは全部完成している。

中身は”あちら側”からエネルギーを引っ張ってきてピノに与えて成長させて分裂させた物が入っている。

ようはピノの断片だ。

結局マギウスを封じ込めたコアがあってもレイヴもミラーレイヴもオブジェクトも無いんだけどね。

幸い残りの3つは時間と資材さえあればどうとでもなるから後回しだ。

ピノはピノでカンファレンスの連中に色々と情報の海を連れ回されているようだ。

毎日面白い出来事を見つけては報告してくる。

それに関連した話だがトヨタマのチャンネルが伸びている。

Vtuberに興味を持って自分でやり始めたIScore0004トヨタマだが時折バズっては登録者を増やしているようだ。

それとピノがどう関係するかというと、トヨタマはピノをVtuberにしたがっているのである。

トヨタマは個人付きのオリジナルコアではないが織斑家の管理をしているという立場上俺達の生活を間近で見て学習している。

加えてVtuberという他人に触れる職業。

それ故学習量が多く特に自我や意志がはっきりしているコアでもある。

で、どうも妹や弟という存在に興味を持って欲しがっているらしい。

Vtuberの兄弟姉妹は現実のそれと違う意味を持つが、そういう名目の関係性の存在を欲しがっているようだ。

なかなかに興味深いのでとりあえず許可を出した。

トヨタマがVtuberを始めたときは絶対命令権を使って止めようかとも思ったが、予想を超える面白い成長をしているのでこのまま見守る事にした。

「ってのが近況かな」

目の前の、テーブル越しのソファに腰掛ける青年達に話しかける。

「そちらさんは…。聞くまでもなかったね」

ムッとした暦さんとその腕に抱きつき頭の蛇まで絡ませ満面の笑みの育さん。

場所は北白蛇神社でもなく浪白公園でもなく阿良々木家リビングである。

育さんをキッパリと振った暦さんだが、育さんもそれでは引かなかったようだ。

さて羽川翼にある程度報告はしているが彼女の中の苛虎やブラック羽川がまた暴走しないか心配である。

まぁそれに関しては案が無いでもないが。

「君のスタイリッシュかつダイナミックかつワールドワイドなテロリズムの話とか聞きたくなかったんだけど?」

蛇神・老倉育は吸血鬼・阿良々木暦の手によって敗北した。

敗北である。

討伐でも、除霊でも、調伏でもなく敗北だ。

暦さんに倒された彼女はそれで満足したのだ。

今は髪を蛇に变化させているが、ただの白髪に戻すこともできる。

そこらへんはたぶん箒が色々と指導したんだろうなと考えている。

「酷いなぁ。せっかく育さんの中から蛇神を追い出す方法を持ってきたってのに」

とはいえ、神が長く神社を離れる事は好ましくなく育さんは数日に一度北白蛇神社へ戻らねばならず不便だ。

更に臥煙に目をつけられる可能性もある。

「え? 私はこのままでも困らないよ?どうせ大学もこの町だし」

「育さんがそのままで居たい気持ちはわかるけど、俺達からするとあんまり好ましくないから」

「んー……。一夏くんがそう言うなら仕方ないかなぁ」

育さんが過去欲していた、そして今手放したくない物は【特異性】だ。

自分の想い人や妹は人ではない。

そして想い人が護るモノも惹かれたヒトも今や人ではない。

そうなれば自分も、と思うのは至極当然だろう。

「ただ、この方法で貴女から札を取り出しても貴女は元の普通の何の変哲もない人間には戻れない。
一度でも神と化した貴女は強力無比な神通力や神使としての義務が残る。
力の使い方や儀式の方法は箒に教わるといい」

ソファから立ち上がり、二人に歩み寄る。

「少し痛いかもしれないけど我慢してね育さん。あと、絶対に邪魔するなよ甥よ」

とりあえず暦さんには注意しておく。

「邪眼開放」

事象干渉力は抑えたまま、吸血鬼としての自分を開放する。

貝木から聞き出した蛞蝓豆腐の術式を展開。

そのまま、育さんの額に人差し指で触れる。

「っ⁉」

育さんがうずくまり、胸を抑える。

酷く咳き込んだあと、蛇神の札を吐き出した。

蛇に变化していた髪が元に戻り、神性が半減する。

半減である。

吸血鬼の本領を発揮した催眠でこの程度か。

俺の予想では残って5%くらいだと思ったんだが。

やはり育さんの中に異常でありたいと願う心があるせいなのか。

「これにて一件落着。だね」

札を拾い上げ、魔法できれいにしてから暦さんに押し付ける。

「二度と使い方を、保管方法を間違わないように。今回の一件の全ての根源は貴方だ。誰がどう弁護しようと貴方の責任で起こったことだ。
誰が、どう言おうとだ」















暦さんの家を後にし、呼びつけた貝木との待ち合わせ場所へ向かう。

前金は術式を教わったときに払ったが、ちゃんと発動するのをみてから残りを払う契約だ。

待ち合わせ場所へ向かっているのだがどうやら貝木のやつ付けられてるようだ。

追跡者の手にはゴルフクラブ。

おうおう殺意満々じゃないの。

貝木のエイドスを先にフルコピーしておく。

人気のない住宅街でようやく二人を視界に収めた瞬間、追跡者が走り出した。

その足音に貝木が振り返るがもう遅い。

咄嗟に腕でガードしたが、鈍く嫌な音がした。

怯んだ貝木をゴルフクラブで殴る殴る殴る。

死ねだの殺してやるだの物騒な事を叫びながら何度も何度も振り下ろす。

あとやっぱり忍野扇が差し向けていたようだ。

「そこら辺にしとけよ」

追跡者の肩を叩く。

驚いた追跡者は咄嗟に俺にもゴルフクラブを振るったが、素人の一撃程度余裕でつかめる。

ゴルフクラブを動かそうと頑張っているようだが、常人ではな。

「織斑一夏! お前も貝木を捕まえに来たんだろ⁉」

「おいおい。重症じゃないか。少年院は免れられないぞこりゃぁ」

「聞いてるのか織斑一夏!」

「捕まえるのは貝木じゃなくて君になりそうだ。知ってるか?現行犯なら私人逮捕できるんだぜ」

「うるさい黙れぇ‼ お前も貝木の仲間だったんだな⁉ お前らのせいで!お前らのせいでぇ‼」

ゴルフクラブから手を話した追跡者が殴りかかってくる。

それを掴み、力の流れのままに投げ飛ばす。

多少の衝撃緩和と頭部保護はしてやったが、受け身も取れず地面に叩きつけられた追跡者は立ち上がる様子がない。

辛うじて気絶はしてないようだ。

「人を呪わば穴2つ。いい勉強になったじゃないか」

倒れた追跡者に背を向け、貝木のもとへ。

「生きてる?」

わずかに眼球を動かし、恨みがましくこちらを睨む。

「再生、キャスト」

貝木のエイドスをバックアップで上書きする。

骨折、出血などの各種外傷が修復され、一分前と同じように修復される。

しゃがみこんで、問いかけてみる。

「おはよう。気分は?」

「…くたばれ」

のそのそと立ち上がった貝木が殴られた腕や頭を確認する。

「傷は全部治した。魔法でね」

すごくしかめっ面で俺を見下ろしている。

「…」

「治療費はいらない。俺がお前を呼びつけた事が原因だからな」

ポケットから今回の、蛞蝓豆腐の術式提供の後金を取り出す。

「これ。蛞蝓の代金」

「それは?」

「純金のキログラムインゴット。俺達は電子数学の財宝と呼ぶ重金属合成技術で作った純度100%の金だよ。他にも銀やプラチナも作れる」

鈍く光りずしりと思いそれを差し出す。

腰を屈めて受け取った貝木の手が少し沈む。

「重いっしょ、それ」

貴金属のインゴットというのは価値はあるが手放すのに苦労する物だ。

それも金インゴットともなれば重いわ換金所は足が付くわで面倒極まりないのだ。

立ち上がって、貝木に背を向ける。

「じゃぁ報酬も払ったし俺はこれで」

「そこのガキはどうするんだ」

「人を呪わば穴2つ。なぁに放っとけばいいさ。人は一人で勝手に助かる物だからね」

友人である千石を呪った男を助ける義理はない。

俺は暦さんほど博愛主義者ではないのだ。



「じゃぁな。愚か者」



追跡者にそう投げかけ、帰路についた。 
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