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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百三十三話 除夜の鐘その十一

「まあ昔からこっそりとはね」
「あったの」
「幡随院長兵衛もね」 
 江戸時代前期の有名な侠客もだ。
「あの人もね実はお坊さんの子供だってね」
「言われているの」
「お寺に匿われていたんじゃなくて」  
 俗にそう言われているけれどだ。
「実はね」
「お坊さんの子供だったの」
「昔からそうしたこともあったから」
 それでだ。
「長兵衛さんもね」
「実はそうだってなの」
「言われているんだ」
「昔からお坊さんも結婚していたの」
「そうじゃなくても同性愛普通だったしね」
 これは日本全体でそうだった。
「だからね」
「そうしたことはあったのね」
「うん、それでお酒もね」
「般若湯として」
「飲まれていたよ」
「そういうことね」
「うん、まあそこはね」
 考えてみるとだ。
「結構いい加減だったよ」
「そうなのね」
「それでそのいい加減さをもう公になったのかな」
「明治維新から」
「奥さん持って子供もいて」
 そのうえでだ。
「お酒もね」
「飲むのね」
「信仰心があって学んでいればね」
 それでだ。
「いいしね、考えてみれば上杉謙信さんもね」
「出家していたのよね」
「謙信っていうのは法名だから」
 諱はあくまで輝虎だ、このことは変わらなかった。ただ諱は当時は文章とかで使われず普通の名前を使っていた。
「この人もね」
「お坊さんだったわね」
「けれど謙信さんっていったら」
 毘沙門天と共にだ。
「お酒だからね」
「毎日飲んでいたのよね」
「それもかなりね」
 縁側に座って梅干しやお塩やお味噌を肴にだ。
「それが楽しみだったらしいから」
「お坊さんになっていても」
「そんな人だったから」
 それでだ。
「もうね」
「この人もなのね」
「物凄い信仰心だったけれど」
 毘沙門天への信仰はだ。
「けれどね」
「お酒は好きだったのね」
「確かに禁欲的な人だったよ」
 毘沙門天を信仰しているので結婚しなかったことは有名だけれどその他の生活も実に質素なものだったという。
「けれどね」
「お酒については」
「飲んでいたよ」
「そこだけは」
「うん、般若湯をね」
 そういうことにしてだ。 
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