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ドリトル先生と幸せになる犬

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第八幕その十

「それでね」
「自分達の赤ちゃんが産まれたら」
「赤ちゃんで遊んでばかりになってね」
「赤ちゃんで、だね」
「そう、赤ちゃんとじゃないよ」
 そこは断る先生でした。
「決してね」
「赤ちゃんもおもちゃだね」
「彼等には会ったことがないけれど」
 そうした意味で知らないけれどというのです。
「よくわかるよ」
「そのことはだね」
「どういった人達かね」
 まさにというのです。
「よくわかるよ」
「愛情なんて全くない人達だね」
「国崎さんのご主人から聞くに二人共普通の家庭で育って」
 そうしてというのです。
「愛情もね」
「受けてきたんだ」
「そうだったみたいだよ、ただね」 
 それでもというのです。
「どうも元々の地がね」
「ああしたのだったんだ」
「もうそれがどうしても矯正されなくて」
「飽きっぽくて我儘で愛情を持たなくて」
「とんでもなく冷酷だったんだ」
「命を何とも思っていない」
「そんな人だったんだ」
 こう王子にお話しました。
「あの人達は」
「そうだったんだね」
「世の中障害とかじゃなくて心根、地があまりにも悪くてね」
 先生は悲しいお顔でお話しました。
「大抵の教育を受けても機会があってもね」
「変わらない」
「そんな人達もいるんだね」
「まともな親御さんでも」
「家庭も学校や仕事場でも」
「そうでも」
「そう、自分で努力をしなくて」
 その為にというのです。
「全くね」
「変わらないんだね」
「悪いままで成長しない」
「そんな人もいるんだね」
「どんな素晴らしい教えを聞いても」
 どんな宗教や哲学のそれをというのです。
「けれどね」
「それでもだね」
「更正も成長もしない」
「反省もしなくて」
「悪いままだね」
「そうした人達は稀だけれどいてね」 
 先生はその悲しいお顔のままお話していくのでした。
「ふわりみたいなとてもいい娘を家族に迎えても」
「そのよさに全く気付かなくてね」
「ただふわりで遊んでるだけ」
「それで他のおもちゃがあれば捨てる」
「そうするんだね」
「零点の人に百点の存在はわからないよ」
 先生は動物の皆にもお話しました。
「まさにね」
「その通りだね」
「どんないい環境でも心根が変わらない」
「そしてどんな教育を受けても機会を得ても」
「全く成長しない」
「悪いままの人がいるのよね」
「そうなんだ、そしてね」 
 それでというのです。 
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