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孤独なゴリラの子供

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第一章

                孤独なゴリラの子供
 カメルーンのジャングルの中でだ。
 話を聞いて駆け付けた動物の救助スタッフはその光景に顔を曇らせた。
「酷いことをする」
「全くだな」
「こんな子を家族と引き離すなんて」
「そして檻に入れるなんて」
 木の檻を見て話した、そして。
 その中にいるゴリラを見た、そのゴリラは。
 まだ小さい子供だった、彼等はそのゴリラを檻から出しつつさらに話した。
「ゴリラは華族を大事にする生きものだ」
「それを家族と引き離すだけでも酷いのに」
「こうして檻に入れるなんて」
「酷い奴等だ」
「本当に密猟している連中は碌なものじゃない」
「それで連中はどうなったんだ」
 その密猟している者達はというのだ。
「一体」
「全員捕まったよ」
 一人が答えた。
「これがな」
「ああ、そうか」
「だから安心しろ」
「捕まったらいいな」
「そうだろ、それでな」
 ここでさらに言うのだった。
「連中は厳罰になるそうだからな」
「それならいい、じゃあな」
「後はな」
「この子を助けよう」
「そうしよう」
 こう話してだった。
 彼等はそのゴリラを保護した、そうして。
 施設に入れて育てることにした、その施設はゴリラを保護する施設でその子以外にも多くのゴリラがいた。
 施設のスタッフの一人アルヴィン=コスマンアフリカ系の彼はボブカと名付けた雄の彼を紹介しつつ見学に来ている者達に対して話をした。
「ゴリラは大人しいんですよ」
「そうらしいですね」
「外見は怖いですが」
「それでもですね」
「実はですね」
「はい、一切暴力を振るわず」
 そうしてというのだ。
「胸を叩いて威嚇しますが」
「それだけですか」
「暴力は振るわないですか」
「そうなんですか」
「棒を一本持って行けば」
 それでというのだ。
「捕まえられる程です」
「こんなに大きくて怖そうなのに」
「それでもですね」
「大人しいんですね」
「そして賢いです」 
 そうだというのだ。
「ですから大事にしてあげないと駄目です」
「全くですね」
「そうした生きものなら」
「どの生きものに対してもそうしないといけないですが」
「ゴリラはとりわけですね」
「誤解せずに」 
 その外見でだ。
「そうして接していくべきです」
「そうですね」
「ゴリラはいい生きものということを認識して」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「そうすべきです」
 こう話して実際にだった。
 コスマンはボブカの世話をしていった、彼はよく人に懐き。 
 特にコスマンと仲がよくなった、それでコスマンは同僚のペギー=モッチ痩せた長身の彼に対して話した。
「このままな」
「ああ、ボブカを育ててな」
 モッチもそうだと頷いて応えた。 
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