迷子のチワワ
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第二章
「どうせこの子に怖がられてるんだろ」
「わかるんだ」
「見ればわかるだろ」
そんなことはというのだ。
「もうな」
「そう言うんだ」
「お前骨法してる時滅茶苦茶殺気立ってるだろ」
颯太のそのことを指摘した、彼は普段は穏やかだが骨法をする時は目が鋭くなり勝負師の顔になり無言で真剣な顔になるのだ。
それを知っているからだ、修太朗もこう言うのだ。
「だから生きものに嫌われるんだ」
「残念だね」
「仕方ないだろ、骨法は元々実戦重視だしな」
そうした格闘技であるのだ。
「それで滅茶苦茶強くてな」
「殺気放ってたらなんだ」
「普段は穏やかでもな」
どうしてもというのだ。
「出るんだよ」
「残念だよ」
「残念でもそうした事情だからな」
それ故にというのだ。
「お前はな」
「生きものに人気がないんだ」
「怖がられるんだ、だからな」
「修太朗がなんだ」
「一時でも預かってな」
そうしてというのだ。
「育てるな」
「じゃあ頼むね」
「それならまずは動物病院に連れて行って」
二人の話が一段落すると百合香が言ってきた。
「それでね」
「病気がないか診察してね」
「怪我とね。あと迷子だって知らせて」
「飼い主さんも探してもらうんだ」
「そうしましょう」
こう颯太に話した、そして修太朗にも。
「これからね」
「それじゃあね」
「あとはネットでも迷子ってこと知らせるから」
そうもしてとだ、修太朗が保護して百合香が診察や飼い主の募集をしてだった。そのうえでだった。
颯太は雄なのでコロと名付けた彼に毎日ご飯をあげて自分が作った服もあげた。だがコロは颯太にはだった。
「俺だけに懐かないね」
「だから仕方ないだろ」
修太朗は学校で落ち込んでいる颯太に告げた。
「それが嫌なら骨法止めろ」
「骨法好きだから」
これが颯太の返事だった。
「止めないよ」
「じゃあ仕方ないだろ」
「俺が生きものに懐かれないのは」
「殺気はどうしようもないからな」
だからだというのだ。
「もうそのことは受け入れてな」
「それでなんだ」
「やっていけ」
こう告げるのだった。
「それにお前が好きならいいだろ」
「俺が生きものを好きなら」
「それでいいだろ、じゃあな」
「うん、コロの世話はね」
「三人でしていこうな」
今は自分の家にいる彼のそれをとだ、修太朗は話した。彼の家族も一時ならと納得してそうして引きっているのだ。
「いいな」
「それじゃあね」
「ああ、いいな」
こう言ってだった。
この日も三人で百合香で一緒にだった、コロの世話をしようと思い。
修太朗の家に集まったがここでだった。
「あの」
「何か」
三人が修太朗の家に着いたところでだった。
玄関で呼び止める声がした、その声の方を見るとそこには黒髪をツインテールにした小学生位の女の子と。
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