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ドリトル先生と幸せになる犬

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第三幕その七

「私のおもちゃを貸してあげて」
「遊んでもらうんだね」
「そうして楽しんでもらおうってね」
 その様にというのです。
「一杯一杯考えたの」
「それで赤ちゃんが産まれたら」
「そうしてあげようって考えて」
 そしてというのです。
「楽しみに待っていたの」
「そうだったんだね」
「それでママのお腹がこれまで以上に大きくなって」
 ふわりはさらにお話しました。
「毎日行っていたお散歩も行かなくなって」
「動けなくなってだね」
「そうなの、ずっと寝ている様になって」
「それじゃあパパはどうしていたのかな」
「お仕事をしていたから」
 それでというのです。
「お散歩は行かなかったわ、いつもお散歩はママとパパが一緒だったけれど」
「そうだったんだね」
「パパも赤ちゃんのベッドやおもちゃを用意して」
 そうしてというのです。
「私のお散歩には行かなくなったの」
「君はずっとお家にいる様になったんだね」
「遊んでくれることもブラッシングをしてくれることもね」
 そうしたこともというのです。
「なくなって二人共ご飯もね」
「忘れる様になったのかな」
「そんな時も出来たけれど」
「君は我慢したんだね」
「だって私お姉ちゃんになるから」
 だからだというのです。
「ママとパパを困らせたらいけないから」
「そう思ってだね」
「我慢したの」
「ずっとだね」
「お散歩も遊ぶこともブラッシングもね」
「ご飯もだね」
「全部我慢したの、そしてママが暫く入院して」
 そうしてというのです。
「赤ちゃんを連れてお家に帰ったら」
「どうしたのかな」
「私一生懸命にママに言ったの」
「どう言ったのかな」
「ママおめでとう、私いいお姉ちゃんになる為に一杯一杯考えたからこれから頑張るねって」  
 その様にというのです。
「言ったの、一生懸命にね」
「ママをお迎えしてだね」
「お家の玄関でね、けれどね」
「ママは返事をしなかったね」
「幾ら私が話しかけても。これまで話しかけたら絶対に笑顔を向けて応えてくれたのに」
 ふわりはここで悲しいお顔になりました。
「ずっと応えてくれなくて最後はね」
「どうだったのかな」
「静かにしなさいって怒って」
 そしてというのです。
「その日からママもパパも赤ちゃんばかり見て赤ちゃんばかり可愛がって」
「君にはどうなったのかな」
「私赤ちゃんがお家に来たら静かにしなさいって怒られて」
「ケージの中に入れられたのかな」
「これまで使っていなかったケージが出されて」
 そうしてというのです。
「そこに入れられて」
「ケージの扉は閉められたね」
「そうなったの、それから一日中ケージに入れられて」
 そうなってというのです。
「ママもパパも私を振り向いてくれなくなったの」
「当然お散歩も遊ぶこともブラッシングもだね」
「全然なくなったわ」 
 ふわりは穏やかですが真剣に自分のお話を聞いてくれる先生に正直に答えました。 
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