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機動戦士ガンダムSEED DESTINY the oath

作者:wig
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怒れる瞳

 
前書き
始めてです。

良くある種運命の再構成ものです。

よろしくお願いします。
※本作にはレイ・ザ・バレルの変わりにオリジナルキャラクターが登場します。 

 
「さて、君とはまたしばらくお別れになってしまうが...アカデミーは卒業できそうなのかね?」 

目の前の彼は仮面で表情は伺えないものの、心配してくれているような、それでいて少しからかっているような表情を浮かべているような。そんな気がした。

「はっ、当たり前だろ?なんたってパイロット適正はめちゃくちゃ高いんだぜ?」

俺はあの時、またいつも通りこうやって話ができると思っていた。

「ふふっ、しかしパイロット適正だけでは赤服にはなれんぞ?」

「それは...あー...そのー...これから頑張っていくつもりだけど...」

兄のように尊敬してやまなかった、俺の育ての親であり、唯一の肉親である彼はー

「人は皆、可能性に満ちている。大丈夫だ、君ならできる」

「そうかな?まぁでもそう言われたら頑張るしかないな!」

ーもう2度と帰ってこなかったのだから。

「その意気だ。では行ってくる。またな...ゼラ」

「おう!行ってらっしゃい!」





CE73
L4プラント アーモリー・ワン
「違う!ロンド隊のジンは式典用装備だ!第3ハンガーだと言ったろ!」
「おい!マッケラーのガズウートの配置はそこじゃねぇ!早く移動させろ!」

ザフト軍の工業用コロニーであるアーモリー・ワンは普段では考えられない程の賑わいを見せていた。多くのMSが行き交う様子はまさに圧巻であるが、皆慣れてないのであろう、非常に慌ただしかった。
異様な活気を見せる敷地内を走っていたバギーが建物の影から現れたジンの足と衝突しかけるが、ハンドルを切り、何とかスクラップになるのを回避する。

「危ない!うわー、なんかもうバタバタだねー」
「ったく、メイリン大丈夫か?」
「うん、ありがと、私は大丈夫だよ」
「なら良かった。てかあのジンのパイロット後でぶん殴ってやる」
「もーそんなこと言っちゃダメだよ?みんな明日の進水式の準備で忙しいんだから。余裕無いんだよ」

助手席に座っていた緑色の制服を着たメイリンホークがそう呟き、運転席に居た少し長めの癖のある金髪に、ザフト軍のエースパイロットの証である赤い制服を着た少年は不服そうに「まぁ確かにそうだな」と呟いた。

「でもミネルバかぁー、シンもお姉ちゃんも一緒だし本当良かったよね!あ、そういえばヨウランとヴィーノも同じ配属なんだって!」
「何だその配属?まぁ各々の成績だけを見れば妥当かもな、本当に成績だけを見れば」

確かにザフト軍の訓練所であるアカデミーにおいて、パイロットコースの首席であるシン・アスカが新型機のパイロットに抜擢され、新型艦であるミネルバへの配属となり。
メイリンの姉であるルナマリア・ホークも専用のザクウォーリアを受領し同じくミネルバの配属となっていた。
そして目の前に居るこのメイリン・ホークもまた通信、CICコースでトップクラスの成績を誇っており、ヨウラン・ケント、ヴィーノ・デュプレの両名もまた、整備の腕前はトップクラスであり、全員が新型艦であるミネルバへの配属になるのも納得だった。全員がアカデミー始まって以来の問題児でなければだが...

「なに?その自分は問題ありませんって顔は?」
「いやいや、そう睨むなって。てかミネルバの配属って何処になるんだろうな?噂では確か月軌道だとか...」
「確かに噂だと月軌道って言われてたけど...私はできればプラントの近くが良いなぁ」

そう語る彼女の口調には嬉しさが伺えた。やはり新型艦への配属は嬉しいのだろう、それに加えアカデミーからの友人たちも同じ配属なのだから。
メイリンの話を聞きながら運転を続けているとミネルバが見えてきた。

「でも本当はミネルバが戦場に出ないのが1番良いのにね」

メイリンがそう呟いたのに対し、「あぁ、全くだ」と返事をする。先の大戦の犠牲の上に築き上げた今のこの平和があるのだから。

「そうならないためにも。俺たちがこのミネルバと一緒に守っていかないとな」

その平和への想いに呼応するように、彼の首につけられた金色のネックレスが光り輝いていた。




同時刻
市街地地区

明日行われる記念式典の為か、いつもより人だかりが多く、賑わっている街中で私の目に入ってくるものは「幸せ」そのものだった。

両親に連れられて嬉しそうな子供ー家族
彼氏と腕を組み、幸せそうな彼女ー恋人

確かに私には両親がいない。いや、居なかったのかすらわからないし覚えていない。恋人がどういったものなのかわからない。
ふと横の窓ガラスに写った私を見る。私にもかつては家族や恋人が居たのだろうか?

「おーい!何やってんだステラ?ぼさっとしてないで早く来いよ!」

「どうした?置いて行っちまうぞ?」

空色の髪色をした活発そうな少年、アウル・ニーダと緑色の髪色をした青年、スティング・オークレが私を呼ぶ。考え事をしていたら大分二人から遅れてしまったようだ。
昔の事は何も分からない、いやもう覚えていないが。今の私には仲間が居る。仲間とは私にとっての「幸せ」、大切なもの、守りたいもの。

「アウル!スティング!」

だから私はーステラ・ルーシェは私の仲間を守るために目の前の「幸せ」を壊して、私の「幸せ」を守るんだ。

「二人とも待ってよー!」

二人に追い付く為、走りながら角にさしかった瞬間横から出てきた人にぶつかった。

「うおっ!ごめん大丈夫?」

倒れそうになるが、誰かの手に後から抱き抱えられ支えてもらった。
振り返ると、私と同じ位の年齢であろう少年が居た。
ぶつかってしまったのは私なのだから、私も謝ろうと思うが、しかしなんだろう。先程から胸に違和感が...少年の手がそこにはあった。

「...っ!」

乾いた音が市街地に響き渡った。





シン・アスカは理不尽にうちひしがれていた。こんなことがあって良いのか?自分の頬にある真っ赤な紅葉からヒリヒリとした痛みを感じながらそんなことを考えていた。

「あちゃー、綺麗に入ったわね。大丈夫?」

自分と同じく非番であるルナマリア・ホークから心配そうに声をかけられ、手を差し伸べられる。
「ありがと」と言いながら手を取り立ち上がると、ルナマリアが意地の悪そうな笑みを浮かべているのがわかった。

「それよりシン、胸触ったでしょ?」
「っな!?べ、別にそんなんじゃ...」
「なーに動揺しちゃってんのよ?、結構可愛かったもんね?あの子」

自分でも顔が赤くなってるのがわかる。先程ぶたれた頬から痛みがまた広がり、それと同時に恥ずかしさがこみ上げてくる。

「だ、だから本当にそんなんじゃなくて!」
「はいはい、そーゆー事にしてあげるわよ」

そう言いながらルナマリアは自分の言い訳を話し半分に聞きながら先に歩いていってしまう。
ぶつかった拍子に落とした荷物を拾い、先を歩くルナマリアを追いかけるシンのポケットからピンク色の携帯が顔を覗かせていた。




ステラ、アウル、スティングの3人はハンガーに居た。ハンガー内のクローラーには灰色のMSが3機格納されており、そのどれもが他のMSとは見た目が異なっており、新型であるのが分かる。
新型が格納されているハンガーに私服姿のステラ達が居るのをザフト軍の兵に発見されてしまったら捕まってしまうだろうが、既にこのハンガー内のザフト兵は皆鮮血を散らし、倒れていた。
ハンガー内はものの数分で制圧されたのだ。
三人は各々、コックピットが開いたままだった三機MSに飛び乗り起動シークエンスを実行する。
シートに着いたステラはOSを起動させ、コンソールやスイッチを素早い手付きで押していく。

「量子触媒反応スタート、パワーフロー良好。全兵装アクティブ、オールウェポンズフリー...システム、戦闘ステータスで起動」

『調子はどうだ?』

通信からスティングの声が聞こえる。

『OK、情報通り』

アウルが応え。

「良いよ」

ステラもそれに応じた。


灰色だった機体はそれぞれ、スティングのカオスが緑に、アウルのアビスが水色に、ステラのガイアが黒に変わる。

瀕死のザフト兵が鳴らしたのだろう。警報が鳴り響くハンガー内で三機のMSが並び立った。





ミネルバ艦内
『インパルス発進スタンバイ。パイロットはコアスプレンダーへ』

メイリンの発進シークエンスを聞きながら自身の機体で待機している間、先程艦長から説明された内容を思い返していた。
三機の新型が何者かに奪取され、既に守備隊が応戦中。守備隊と合流し奪取された新型を捕獲せよ。
との事だが奪取された新型ーカオス、ガイア、アビスはそれぞれが特殊兵装を備えており、とてもじゃないが守備隊のジンやディン、その他の量産機じゃ太刀打ちできない。せめて対抗できるならザク位だろう。

『続いてリバティ発進スタイバイ』

考え事をしていたら自分の番が来たようだ。初の実戦がこのような形になるとは思ってもいなかったが、やるしかない。

『プラットフォームへのセット完了、モジュールはスラッシュを選択。スラッシュウィザードを装備します』

恐らくは守備隊は壊滅だろう。俺とシン、後から合流してくるルナマリアでやるしかない。
そう意気込みヘルメットを装着する。

『左舷カタパルトオンライン、気密シャッターを閉鎖します。発進区画、非常要員は待機してください。
リバティ全システムオンライン。発進シークエンスを開始します』

ハッチが開き、あちこちで黒煙が上がっているが見えてくる。これは実戦なんだと嫌でも改めて実感させられた。

『ハッチ解放、射出システムのエンゲージを確認。カタパルト推力正常、進路クリアー。リバティ発進、どうぞ!』

「ゼラ・ル・クルーゼだ。リバティ出るぞ!」

グレーをベースに細部にトリコロールカラーが施された機体が今、ミネルバから発進した。 
 

 
後書き
機体解説

ZGMF-X50S リバティ

先の大戦で活躍したGAT-X105ストライクを元に開発された機体であり、ZGMF-X56Sインパルスの元となった機体。

武装は胸部バルカン砲。ビームライフル、ビームサーベル×2を搭載。ビームライフルは後腰部マウントされており、ビームサーベルはそれぞれ左右の腰部に装備されている。

ザクウォーリア、ザクファントムと共通の各追加武装「ウィザード」を換装することにより、様々な局面での戦闘を可能とする。 
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