| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

黄金バット 第三十九話 メンインブラック比叡山の攻防

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

 非常に立派な僧衣と赤い頭巾を被った一目見ただけでこの世の人とは思えないまでの徳と学識それに法力を備えたお坊さんが出て来ました。比叡山のお坊さん達はその人を見て驚きの声をあげました。
「貴方はまさか」
「まさかと思いますが」
「伝教大師様ですか」
「そうなのですか」
「如何にも。そなた達の法力を受けて出て来た」
 見ればお身体が透けています、実体ではなく魂みたいです。
「比叡山を護ろうとする想いを」
「そうなのですか」
「まさか出て来られるとは思いませんでした」
「黄金バットだけでなく貴方までとは」
「この山を開かれた貴方までが」
「ここは私と黄金バットに任せてもらう」
 伝教大師即ち最澄さんはこう言ってでした。
 メンインブラックに対して凄まじい法力を放ち黄金バットは魔人にステッキの先をフェシングの様にして使って攻撃をはじめました。雷を落とし衝撃波も放って反撃します、ですが。
 流石に二人を相手にして魔人は次第に劣勢になってでした。
 一旦間合いを離してから忌々し気に言いました。
「残念だが負けを認めよう」
「それならか」
「今回はこれで去る、また会おう」  
 こう言って闇の瘴気の中に姿を消しました、それを見て黄金バットは何処かに飛び去り。
 最澄さんはお坊さん達に言いました。
「そなた達が心を一つにし魔人と対したから我等が出た」
「想いを受けてくれて」
「そうしてですか」
「魔人を退けられる者をな。全てはそなた達の心故だ」
 魔人を退けてお寺を守ろうと一つになってお経を唱えた結果だというのだ。
「見事だった、その心を忘れるな」
「わかりました」
「これからもですね」
「心を一つにしてですね」
「御仏にお仕えし学ぶ修行するのだ、いいな」
 こうお坊さん達に言います。
「仏門の教えもこの寺も護れるのだ」
「わかりました、ではです」
「これからもです」
「我等心を一つにし」
「そうしていきます」
「頼むぞ。では私はこれからもそなた達を見守ろう」
 最澄さんはこう応えてでした、そのうえで。
 本堂に入り姿を消しました、お坊さん達はその後姿を見送りこれからも学問と修行に励み仏教の教えだけでなくこの比叡山も護っていこうと誓うのでした。


黄金バット第三十九話   完


                 2021・3・1 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧