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異生神妖魔学園

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大きくなりました♡ 中編

失意のうちに教室に戻る龍哉。机と椅子も巨大化しており、コーティアが言っていた通り黒板も巨大化していた。


ライエル「本当に何もかも大きくなってるね……」

ディーゴ「これ座ってるって言えねぇよ……ん?龍哉?」


教室に入ってきたのはなぜか元気のない龍哉だった。


ディーゴ「龍哉、どうした?珍しく元気ねぇな」

龍哉「……それが………実は………」





ディーゴ「なっ……紺子が植物に呑み込まれたじゃと!?しかも学園長が作った植物って……なおさらヤベェじゃん!」


愕然とするディーゴを含め、教室内がざわつき始める。


龍華「どういうことだよ兄貴!龍王連撃打で倒せば救えたんじゃねぇのか!?」

龍哉「したくてもできなかったんだよ!むしろできてたら苦労しない!もし紺子を呑み込んだあいつを殴れば……下手したら………紺子もケガしてたかもしれないんだぞ!?」

龍華「じゃあどうすんだよ!?カズミンが聞いたらあいつ絶対黙ってねぇぞ!」

仁美「私だったら呑み込まれる前に噛みつく~」


生徒たちがざわついているうちに、ヴォイエヴォーテが教室に入ってきた。


ヴォイエヴォーテ「お前たち、やかましいぞ!何を騒いでいる!」

ライエル「何で先生だけ落ち着いてるんですか!?」

ヴォイエヴォーテ「………ああ、失礼。少し冷静さを失っていた。実を言うと私も朝来た時、校舎が巨大化していたことには腰を抜かすほど驚いた。だがあれで驚くなどドラキュラ家の一族として恥ずかしいと思った私は冷静さを取り戻すため、あることをした」

許人「あること?」

ヴォイエヴォーテ「それはな………」
















ヴォイエヴォーテ『待て待て待て待て!いろいろと待て!落ち着け、落ち着くのだヴォイエヴォーテ!心を平静にして考えるんだ!こんな時どうするか……我々ドラキュラ家は心を落ち着かせるにはどうしてきたか……素数だ、素数を数えて落ち着くんだ!素数は1と自分の数でしか割れない孤独な数字…私に勇気を与えてくれる!2、3、5、7、11、13、17、19…………!』















ヴォイエヴォーテ「というわけだ」

生徒全員『いや、先生の親族どんな決まり作ってんの!!?』

司「先生の親族って今までそうやって素数数えて落ち着いてきたのか!?俺様も初めて聞いたが、どんな親族なんだよ……!寝耳に水だぞ!」

ディーゴ「司がちゃんとしたことわざ使いやがった!?」










ところ変わって、1年教室でも。


一海「ドラキュラ先生、いつも予想外なこと起きたら素数数えてたんだ。初めて知った………」


ヴォイエヴォーテの話がここまで聞こえていた。


無亞「素数を数えるって突っ込みどころが多すぎるんだが…」

直刀「と、ところで……先輩が学園長が作った植物に呑み込まれたって話聞いてる……?」

一海「え?」

藤一「いやいや、何でそないなこと言えるん?」


何を言っているのか理解できない。それでも直刀は続ける。


直刀「みんな聞こえてなかったと思うけど、僕聞いちゃったんだ……と…隣の教室から聞こえてきたんだけど………レクリエーション始まる前に僕が間違って斬っちゃった狐耳の先輩が………」

一海「出雲姐ちゃんがどうかしたの?」

直刀「さっきも言ったように……あの狐耳の先輩が……学園長が作った植物に呑み込まれたんだ……」

一海「!!」


直刀の話を聞いた途端、一海の動きが静止した。


直刀「え……?」

藤一「ど、どないしたんカズミン……?」

一海「………………」

無亞「………なんか知らねぇが、まさか旧神の俺が怖じ気づくなんてな」


ただならぬ殺意を感じ取った無亞に悪寒が走り、鳥肌が立つ。
耳を澄ませると、一海は何かブツブツ呟いていた。


一海「学園長死スベシ、学園長ノ植物滅ブベシ、慈悲ハナイ。今日の午前授業が終わったら問いただしに行かないと。内容次第で腹パンしてやる。内容次第で金的食らわせてやる。出雲姐ちゃんをいじめる奴は許さない出雲姐ちゃんを泣かせる奴は許さない許さない許サナイ許サナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ―――――」ブツブツ

ココ「ヒェ!?か、一海さん!?な、なんか……すごく怖い………!」

無亞「ココがメッチャ怖がってやがる……この殺意と怒り………マジで本物じゃねぇか」

一海「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ」ブツブツ










一方で、3年教室でも。


竜奈「なんか綾野の様子がおかしいんだが」

牙狼「どうしたの、綾野?」

綾野「1年教室にて一海の激しい怒りと殺意を感じ取りました。それもまた測定不能なほどに」

牙狼「測定不能?」

綾野「この間の休日、マスターの紺子様、一海、龍哉と共に神守先生の頼みで猫をいじめる男に制裁を与えろと頼まれたのですが………その男に対する一海の妖力が数十、数百、数千倍以上と大きく膨れ上がっていました。その原因は一海に流れる玉藻前の血………」


正直、綾野も一海に玉藻前の血が流れているなど知らなかった。
それにあの測定不能になるほどの妖力。綾野も下手に手を出せば破壊されかねなかっただろう。


綾野「さらに男に対して言った呪詛の言葉。私はロボットなのでしっかり記録しています。『いざや呪え、常世咲き裂く怨天の花。数多の怨霊となりし生き物よ、愚かにも命ありける者を辱め陥れる者に憑依し、心を荒らせ』。一海はそう言っていました。その言葉を聞いた男は死にそうなほど苦しんでいました」

竜奈「一海が人を殺しかけただと!?」

綾野「ご安心を。マスターが正気に戻しました。『もしやめてくれたら明日の夜私のお腹を好きにしてもいいから』と言って」

舌寺「紺子っちのお腹と聞けばすぐ見参!紺子っち、今どこにいるの!?俺っち、また紺子っちのお腹舐めたくなっちゃった!」


割り込むように現れる舌寺。この場の空気が悪くなる。


綾野「ただの変態でしかない部外者はお黙りなさい。この『駄犬』」


この時、綾野の声にはドスが効いていた。そのまま舌寺の目めがけて指から催涙ガスを発射する。


舌寺「ギャアアアアアアア!!!!目がァァァァァ!!!!目がァァァァァァァアアア!!!!」

牙狼「……後で1回舌切られてこい」

竜奈「全くだ。こいつの性癖は一体いつになったら直るのやら……ところで一海に呪われた男はその後どうなった?」

綾野「なんとか一命を取り留めて精神病院に入院しました。ですが目が覚めると『ねこがいるそこにねこがいますねこがあらゆるばしょにいますだれでもねこはいます―――――』と意味不明なことを言い出し、さらに『ねこですよろしくおねがいします』といううわ言ばかり言っているとのこと。神守先生がその記事を見せてくれました」

竜奈「………だが、なぜに紺子は腹?あいつは腹が弱点なのか、それとも一海の性欲を求めてたのか?」

綾野「その辺は私もわかりません」


綾野に催涙ガスを浴びせられて悶絶する舌寺を除き、3年は2年と対照的にあまりざわついていなかった。
やがてラインハルトが教室に入ってきた。


ラインハルト「卿たち、席に着け。これより朝のHRだ」

牙狼(ラインハルト先生、校舎が大きくなっても落ち着いてるなぁ………)

舌寺「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!目が痛いィィィ!!何すんの綾野っち!?俺っちの目に何してくれてんのォォォォォ!!」

ラインハルト「私が来る前に何があったというのだ……」










そして理科室にて。紺子を丸呑みにした怪植物はぐっすり眠っていた。


紺子「ッ………ッ………」


モゾモゾ動く怪植物の体。その中から紺子のうめき声がする。なんとかして脱出しようと必死にもがいていた。
その甲斐あってか、怪植物の口から靴下に覆われた足先が出てきた。怪植物は気づいていない。


紺子「ッ………ッ………」


このままもがいていればそのうち出られるかもしれないと思っていたその矢先、突然怪植物が自身の胴を持ち上げた。


紺子「ッ!?」


そしてブッと紺子の下半身が吐き出されると同時に、尻尾とパンツがあらわになる。
どうやら体内でまたスカートがめくれているようだ。恥ずかしさのあまり足をばたつかせる。


紺子「~~~~~!!~~~~~!!」ジタバタ


いくら抵抗しても紺子は怪植物から抜け出せることはできなかった。暴れる紺子を再び呑み込む怪植物。そしてまた眠りについた。
だが紺子はもちろん、怪植物は知らない。ただならぬ殺意と怒りを放った妖狐が1年教室にいることを。 
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