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イベリス

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第十三話 学業もその六

「まあ四ヶ月にね」
「一回ですか」
「それ位よ」
「まあそんなものですね」
「ボーナスだからね」
「けれどそうしたこともちゃんと」
「速水さんはしてくれるの」
 彼はというのだ。
「お金払いも凄くいいのよ」
「ただ待遇がいいだけでなくて」
「そう、うちの事務所はホワイトよ」
「それもかなりでしょうか」
「そうね、ホワイトの中のホワイトと言ってね」 
 そこまで言ってもというのだ。
「いいわ」
「そうなんですね」
「本当に速水さんは優しい人だから」
「待遇もお金の支払いもですか」
「いいの、どうもお金に執着しない人だし」
「そうした人ですか」
「どうもね、何でも一つのことだけにはね」
 先輩は咲に速水のことをさらに話した。
「かなり執着してるってご本人がね」
「言われてますか」
「ええ、けれど」
 それでもとだ、咲にさらに話した。
「その一つのことが何かはね」
「言われないんですね」
「そうなの」
「そうですか」
「だから私達にもね」
「セクハラとかはですね」
「一切されないわ、パワハラもモラハラもね」
 そうしたこともというのだ。
「全くされないから」
「紳士なんですね」
「ええ、かなりの紳士よ」
「口調も穏やかで」
「そうした人だから」
「ここにいてですか」
「悪いことはないさ」
 一切、そうした言葉だった。
「だからね」
「安心してですね」
「働いてね」
「そうさせてもらいます」
「今日もそうしてね」
 先輩は咲に笑顔で話した、そしてだった。
 咲はこの日もアルバイトに励んだ、それが終わってから家に帰ると丁度母がモコをケージから出してみていた。
 その母を見てだ、咲はすぐに尋ねた。
「モコどうしたの?」
「いや、歯を見てね」
「虫歯とか?」
「歯周病とかチェックしてたの」 
 そうだったというのだ。
「今ね」
「それでどう?」
「大丈夫みたいよ」
「ワンワン」
 そのモコが鳴いた、いつも通り明るい鳴き声である。母はそのモコを見つつ娘に対してさらに話した。
「よかったわ」
「そうしてチェックしてるの」
「時々ね」
「病院で診てもらってるでしょ」
「お家でもよ」
 家族もというのだ。
「ちゃんとね」
「チェックしてるの」
「さもないとね」
「虫歯とかになったら」
「よくないでしょ、ドッグフードに歯磨きの要素も入ってるけれど」
「歯には気をつけてるのね」
「お母さん子供の頃虫歯になって痛かったから」
 そうしたことがあったというのだ。 
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