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異生神妖魔学園

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新入生歓迎

人生ゲームの片付けが終わって間もなくチャイムが鳴った。
紺子たちは急いで席に着き、教室にヴォイエヴォーテが入ってくる。


ヴォイエヴォーテ「みんなそろっているな……よし、これから入学してきた1年の生徒たちとの交流が始まるが、その前に確認すべきことがある」

許人「確認すべき…こと?」

ヴォイエヴォーテ「何でも我々教師の中で災難が起きたらしい。その件は後ほど明かされるだろうが、教室を出て整列しろ。間もなくレクリエーションが始まるからな」


生徒たちは教室を出て整列し、ヴォイエヴォーテについていくように体育館へ向かうことに。


ヴォイエヴォーテ「全員並んだか?列は乱れていないか?」

冷火(わかってるよ、うるせぇな…ペチャクチャしゃべりやがって。何でこんなに口うるせぇんだ?)

紺子「全員いまーす。4時間目からずっとあの状態でいる司も大丈夫でーす」

ヴォイエヴォーテ「そうか。よし、全員列を乱さぬよう前進!」










体育館に入り、紺子たちが辺りを見回すと、一海を含めた新入生はもちろん、3年の生徒たち、教師たちがそろっていた。


ディーゴ「スゲェ…もうこんなに集まってやがる……」

紺子「カズミンもちゃんといるな。個性があふれてるぜ」

ヴォイエヴォーテ「無駄口禁止だ。黙って歩け」


それから用意されてある席に座り、ヴォイエヴォーテも教師側に戻った。
ステージに学園長であろう女性がステージに上がる。


校長「それでは学園長からのお話です」

学園長「全校生徒の皆さん、こんにちは。新入生の皆さんも初めまして。私、異生神妖魔学園の学園長、『喰輪辰蛇』でございます」

ライエル(学園長……あの人みんな苦手なんだよな……『全ての元凶』って呼ばれるほどだよ)

龍華(美人なのに何であんなに下品なんだ?集会とかではああやって意外と礼儀正しいのに…)

乱(キスしたい…1年全員にキスしたい………)

紺子(その顔!こいつ絶対1年全員にキスする気だよな!?)

辰蛇「桜が舞い落ちる今日この日、私たちは新入生の皆さんと関わり合えることを楽しみにしていました。私は皆さんを異生神妖魔学園へ歓迎します」

セー(どうせ1年も僕のことバカにするんだろ?わかってるよ、そんなこと)

辰蛇「それでは1年生の皆さん、起立。まずは私たちに自己紹介をお願いします」


立ち上がった1年の生徒たちも紺子たち同様個性があふれている。
いや、中には人間も混じっている?だがこの学園は人間禁制。つまり混じっているのはロボット………そう、アンドロイドだ。
人間禁制だとしてもここはアンドロイドは許される場所で、教師たちの中にもそれに似たような者もいる。
魔法使いの少女もいた。彼女は人間のはずである。魔法が使えるから辰蛇に人外扱いされて入学することを許可されたのだろうか。


メイドアンドロイド「メリー・西藤・レイジアです。よ、よろしくお願いします!」

魔法使い「ココ・エンチャントレスです。よろしくですぅ!」

一海「藤井一海です。よろしくお願いします」

旧神の男の娘「黒神無亞だ。よろしく頼むぜ?」

雪女「雪降霜でーす。地球温暖化、はんたーい!」

鬼1「ワイ、茨城藤一ていいます!よろしくお願いしやーす!」

瓶底眼鏡の少年「く、叢…な、直刀です……」

河童の少女「河流胡っていいます。尻子玉抜きたいです」

鬼2「酒天稚童です。酒呑童子の子孫です……一応」

化け猫「蒼嶺彩。よろしく」

オーク「あっ……と…その…………」

辰蛇「?」

オーク「…………………」

辰蛇「たぶん緊張してるみたいだから、そこの死神ちゃん。お願いできる?」

死神少女「あ……葬遺埋です。えっと、見ないでください……」

オーク「……俺は、自己紹介すらまともにできないのか!くっ……殺せ!」

無亞「バカジャネーノ?お前どんな生活送ってきたの?そんなことでは誰も殺しゃしねぇよ」

藤一「すんません学園長。こいつ『来転王』っていうんですけど、家族も先祖もあんまりにもあんまりなんですよね。みんな『くっ殺』でくっついてまして……」

辰蛇「あらあら、かわいそうに。来転君の種族ってオークよね?その様子からすれば…………《b》平和主義者ですかぁ?《/b》」


辰蛇が不敵な笑みを浮かべ、来転に目を向けながら言った。


来転「……ち、チクショウ…何でバレちまったんだ…!俺ホントに争いが嫌いなんだよ!くっ…殺せぇぇぇええぇぇぇええぇぇぇええ!!!」

霜「うるさいよっ!!」


しびれを切らした霜が怒鳴ったかと思うと、口から吹雪を吐き出した。
すると来転の体がみるみる凍っていき、しまいには氷漬けになってしまった。


ココ「…ああ、来転さん凍っちゃったですぅ。でも……ココも霜さんみたいn」

無亞「ならないだろ。お前昔からドジだから俺たちにも被害及んでるんだぜ?」

メリー「全く、バカでアホでド天然というのはこのことですね」

ココ「ココはバカじゃないですぅ!!!」

一海(まーた始まったよ…)

胡「だったら小学校で起こしたあの事件何だったの!?君の魔法暴走して観葉植物が怪物になっちゃってさ、私たちあれ処分するのに苦労したんだからね!?無亞君がいてくれたおかげでなんとかなったけど!」

無亞「フッ」

ココ「あれはいつまで経っても成長しなくてイライラしてただけですぅ!!大きくなったらみんな感激するかもしれないって思ってたんですぅ!!」

霜「食われかけた人もいるのによくそんなこと言えるよね!!凍らせてオブジェにするよ!?」

ココ「嫌ですぅ!!死ぬならせめて寿命の方がいいですぅ!!」

藤一「もー!ガタガタガタガタうっさいねん、ホンマ!見てみ!?先生も先輩も呆れとるやん!」

藤一と無亞以外全員『……あっ』


辺りを見回すと、辰蛇と校長は別だが確かに教師たちと紺子たち先輩が呆れていた。


辰蛇「元気なのはいいけどそういうのは休み時間とかにやってくださいね?」

ココ「ひぃぃ!ごっ、ごめんなさぃいい!!」

辰蛇「さて、自己紹介が終わったのはいいものの、次は何しましょうかねぇ…」

校長「『レクリエーションしましょう』って言ったの誰ですか?」

辰蛇「私ですわ!!職員会議で話した内容すっかり忘れてましたわ!!オーッホッホッホッホッ!!」

トリノ「スッゲェ腹立つゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!出した内容生徒たちの心折れるほどだったけどそのまま宣言するのもムカつくことこの上なしだァァァァァ!!」

ヴォイエヴォーテ「落ち着け烏丸殿。学園長殿がああやってふざけるのはいつものことだ。この間も何だ………うちの学級の女子の1人も学園長殿のセクハラを受けている。あの時私がいたからよかったが、いなければ連れていかれて【自主規制】されていただろう」


昔のことを昨日のように覚えているように語るヴォイエヴォーテ。
その話を聞いた軍人風の邪龍の男が口を開く。


軍人風の邪龍「ドラキュラ殿、確かに貴殿はコウモリとなって学園長を止められた。だがあの時暴走していたのを覚えておられるのか?」

ヴォイエヴォーテ「新人にして3年の担任にして我が友『ラインハルト・ファブニール』…」

紺子(私のことじゃねーか!!ラインハルト先生どうやって見てたの!?)

ラインハルト「貴殿は私同様一度怒ると手の施しようがなくなりますが……私は別です。あの日うちの弟子が下賎な輩に絡まれた際、生理的に奴を殺したい気持ちが湧き上がり、奴をじわじわ痛めつけてから殺してしまった……」

ヴォイエヴォーテ「何だと…?」

ラインハルト「それも何度も。ドラキュラ殿同様生徒たちを思う気持ちは十分にあります。貴殿はただ相手を襲い、時には血を吸い取ることもあるでしょう?私の場合社会的にも抹殺しなければならなくなる。例え貴殿たちだろうと校長殿だろうと学園長殿だろうと…………それが私の正義です」

みのり(うわっ、ラインハルト先生のクラスの副担じゃなくてよかった…もしセクハラしてたらその先に待ってるのは…………)

フェンリル「はわわっ…もう聞きたくないですぅ…」

アンドロイド「やれやれ…食後から聞きたくない話聞いちゃったよ」


ラインハルトの話を聞いていたみのりは青ざめていた。もし彼の目の前でセクハラしていたら間違いなく殺されているし、見ていなかったとしても誰かに告発されているだろう。
同じく話を聞いて恐れていたのは灰色の犬耳と尻尾を生やしたフェンリルの女性『大狼リン』、テキトーに流していたのは武装した一張羅なアンドロイド『ユウジ11』だった。
だがユウジ11はただのアンドロイドではない。地球の超古代文明の遺産、マシンナイズド・ヒューマンである。明確な感情を持ち、食事もするなど完全に人間らしい超高度なプログラムが構築されている。名前の後ろに11とついているのは彼が11体作られたのではない。再起動した回数なのだ。


ユウジ11「50年前まで山に埋まってたのにまた動けるようになったと思ったらこれだよ。ったく、今夜はろくにラーメンも酒も食えやしねぇ」

ハゲマッチョ「また君は『早く帰りたい』って思ってるのかい?ダメダメ、今日は俺の筋トレに付き合う日だろ?」

ユウジ11「いつも下半身丸出しにするテメェが言うセリフか?俺にもいろいろ予定があるんだ、邪魔するなら撃つぜ」

ハゲマッチョ「何を~!君はこの『宇佐間論子』の肉体美に興味がないというのか!?筋肉はいいぞ!筋肉はいつだって自分の味方!俺みたく毎日鍛えてムキムキになれば毎日がバラ色!女の子たちにだってモテるぞォ~!」

ユウジ11(うぜぇ…)

辰蛇「思いっきり話が脱線しちゃいましたが……そろそろレクリエーション始めますかねぇ」

紺子「やっとだよ……どうせまたろくなもん出さないんだろうな………」

龍哉「去年俺たちがやって来た時もあれだったし、今年も絶対そうだ。うん、きっとそうさ」


紺子と龍哉が小声でブツブツ言うも、まさか今年も辰蛇が考えたレクリエーションに恐怖するとは誰も思っていなかった。


辰蛇「ですがその前にいくつか連絡があります。体育担当の宇佐間論子先生、大狼リン先生、ステージ上へ」

大狼「えあっ!?は、はい!」

宇佐間「簡単な用事ならすぐ済ませたいんだけどね」


呼び出された大狼と宇佐間がステージに上がる。2人の間に何があったのだろうか。





辰蛇「この2人は会議中、教師として情けない行動をしていました。宇佐間先生はこっそり筋トレに関する本を読み、大狼先生は大事な書類をシュレッダーにかけるといったものです」

宇佐間「ファッ!?学園長見てたんですか!?」

大狼「はわわわわっ!あの時もっと早く気づいてたら…!」

辰蛇「こんなことが二度とないよう、武闘全般担当の剛力拳次先生による闘魂注入の刑に処します。剛力先生、お願いします」


教師たちの中から前に出て、ステージに上がったのは角刈りで厳格な顔つきをした筋骨隆々の男だった。


剛力「ガァッデーム!!」

ヴォイエヴォーテ(剛力殿は敵に回したら大変な男だ。さて、何をされるか……)

剛力「改めて聞きますが、宇佐間先生。会議中何したんですか?」

宇佐間「やっぱ俺ってムキムキだろ?だから筋トレの本を読ん…」



ドゴォ!!



宇佐間「でっ!?」


剛力の鉄拳が宇佐間の顔面の中心をとらえた。宇佐間の顔面はめり込み、ステージ上から落ちた。


剛力「で、大狼先生は?」

大狼「書類をシュレッダーにかけちゃいましたっ!」

剛力「あんな大事なものをねぇ……この野郎」ボソッ

大狼「ち、ちょっとちょっとちょっと!今『この野郎』って言いましたよね!?小声で!」

剛力「黙ってください。気合い入れてくださいよ?」

大狼「ああ、現実は非情ですね…」



ベシャッ



なす術もなく顔面にパイを優しくぶつけられた。


辰蛇「えー、それからもうひとつ連絡がございます。皆さんも担任から聞きましたが、教師たちの中で剛力先生が災難に遭いました」


体育館内が生徒たちの声でざわめき出す。
しばらくして剛力が口を開いた。










剛力「……俺のハンカチを盗んだのは誰だ?」 
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