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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐

作者:グニル
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一晩明けて……

IS学園、食堂午前7時30分


「「…………………………」」

「いやぁ! ここの朝食は美味いな二人とも!」

 ど、どうして一夏さんはこの空気でここまで食が進むのでしょう!?

 状況を整理します………私は今朝食をとるために食堂へ来ました。ここまではいいです。
 そこで一夏さんに会った。これも一年生は全員同じ食堂を使うのでありえないことではないです。

 でも………そこで「朝食一緒に食おうぜ!」なんて誘われるのは計算外です!

 しかも一緒にいたクラスメイトの黒髪のポニーテールが特徴的な凛とした人……えっと、確か篠ノ之さんが、その瞬間敵を見るような目つきでこっちを睨んできてさっきからずっとこの調子です!

 これはもう恋ですね!恋なんですね!?篠ノ之さんは一夏さんにLoveしてるんですね!?

 初対面の私でも分かるそれを一夏さんは全然気づいていないようです。
 確か日本の漫画で読みました。こういう人は朴念仁とか鈍感男とか言うんですよね?

「ん? カルラどうした? 箸が止まってるけど」

「あ、あまり食欲が無くて……」

 もう一瞬でも早くこの場を離れて教室に行きたいのですけど……

「ダメだぞ、朝はちゃんと摂らないとばてちゃうじゃないか。ほら、これなんて美味いぞ!」

「ええ!?」

 なんということでしょうか! あろうことかこの人は自分の鮭の切り身を進めてきたのです!
 いえ、それは問題じゃなくて、切り身を箸で挟んでこちらに差し出してきています!
 これは世間一般で言う「はい、あーん」というものなのですか!?

 ひい!

 篠ノ之さんが視線で人が殺せたらって言うほどの目つきになっています!
 多分その目線は心臓病を患ってる人か老人は殺せると思いますよ!?

「だ、大丈夫です! お気になさらず」

「大丈夫じゃないって。IS学園に入って最初の友達が体調崩すようなことしてたら放っておけないだろ」

「………一晩でずいぶん仲が良くなったものだな……一夏」

 今日初めて篠ノ之さんの声を聞きました………
 でもなんででしょうか……全く助け舟の気がしません。
 そのまま一夏さんが篠ノ之さんを妙な言い争いを始めたので一夏さんの注意が反れました。
 今のうちに自分の朝食を摂ってしまいましょう。

「ご馳走様でした!」

「あ、あれ? もう食ったのか?」

「は、はい! では私は準備をするのでまた後で!」

「あ、ああ。後でな」

 顔が熱いです……きっと今私の顔は茹でた蛸のように真っ赤に違いありません。
 足早に食堂を出る際に「もったいない……」とか「私がして欲しかった~」とか聞こえましたが関係ないのです!男性耐性なんてないんですよ! きっと自分の番になったら私みたいになるに決まっています!

 食堂を出た途端後ろから織斑先生の声が聞こえてきました。なんでも織斑先生は一年生の寮長だとか。
 それを直接聞かないでホッとしている自分がいます。どうやら織斑先生への苦手意識がはやくもついてしまっているみたいですね。
 本当……これから大丈夫なんでしょうか、私。

――――――――――――――――――――――――――――――

 昨日に引き続き今日は通常授業の座学です。

 既に一夏さんは2時間目までの授業内容で頭がパンクしているみたいで、今にも煙が出るんじゃないかって言うくらい唸ってますけど……
 それでいて休み時間には他の生徒の質問攻め。心休まる暇が無いとは正にこのことでしょう。

 そんな中織斑先生が3時間目の授業直前に来て一夏さんに話しかけました。
 この人が来るだけで教室の空気がまったく変わるんですよね。さすがと言うべきでしょうか。

「織斑、お前の機体だが予備の機体が無いため学園側から専用機を用意する事になった。そのせいで準備に時間がかかる」

「へ? 専用機? 俺に……ですか?」

 織斑先生の言葉に教室中がざわめいていくのが分かります。当の一夏さんは頭の中から情報を引っ張り出そうとしているようで頭を捻っています。

「専用機って……昨日カルラが言ってたあれだよな? 国家の代表やカルラみたいな代表候補生とかが専用で使えるISのこと」

 確認するように一夏さんが振り返って聞いてきました。

「はい。正確には主に国家代表操縦者、または代表候補生や企業に所属する人間に与えられるISのことです。ISは現在467機しか存在しないので、専用機を持っているということはそれだけで特別な存在、というわけですね」

「467? それだけ?」

「参考書3ページに書いてありますよ。作った篠ノ之束博士以外はコアがブラックボックスになっていて他の人には作れないんです。ですから現状存在するISは467だけです」

「あー、そういえばそんなこと書いてあった気が……」

 昨日の夜少し専用機の話をしただけだけどそれが良かったのかもしれませんね。
 そういえば数の話はしなかったっけ。
 そんなことを思っていると織斑先生が話を切りました。

「今カストのいった通り、IS専用機は国家、企業に所属するものしか与えられない。しかしお前の場合状況が状況のため、データ収集を目的として専用機が用意される。理解しろ」

「は、はい……」

「よし、ではこれで話は終わりだ。山田先生、授業を」

「は、はい。それでは皆さん、テキストの12ページを……」

――――――――――――――――――――――――――――――

「安心しましたわ!」

 授業が終わったのも束の間、いつの間に来たのかオルコットさんが一夏さんの目の前で仁王立ちしていました。

「クラス代表の決定戦! 私とあなたでは勝負は見えていますけど、流石に私が専用機、あなたが訓練機ではフェアではありませんものね!」

「もう勝った気でいるんですね」

「当たり前ですわ! あなたも代表候補生で専用機持ちといいますが、私があなたごときに負けるはずがありませんもの!」

 とことん人を挑発するのが好きな人です。

「そんなの分からないじゃないか。カルラが勝つ可能性もある」

「それこそありえませんわ。期待するだけはしてもいいかもしれませんけど無駄になりますわよ?」

 この良く分からない自信は一体どこから出てくるんでしょう?
 まあどの道結果が全てです。両親からも教えられましたが正式な場以外での乱闘騒ぎは先に手を出したほうの負け。なら本番で見返してあげればいいだけです。

「そもそも同じ候補生としても『格』というものがありますもの。カストさんと私では勝負になるかどうか。せめていい試合だったと言わせてくださればいい方でしょうか?」

「そのセリフ、そっくりそのままお返ししますよ。私の実力を知りもしないのにそんな大口叩いて、後悔するのはそちらというのを分からせてあげますよ」

「ふふ、覚えておきますわ」

「候補生ってそんなに違うもんなのか? 箒」

 私とオルコットさんが静かな火花を散らしているその横で一夏さんが近くに来ていた箒さんにそう聞いていました。そこは少し空気を読んで黙っていてほしかったです。そしてどうして篠ノ之さんに話を振るんでしょう? 確かに男の一夏さんよりは詳しいと思いますけど。

「私に振るな」

「そういえばあなた、あの篠ノ之博士の妹だそうですわね?」

 その言葉にオルコットさんは今気付いたという風に篠ノ之さんの方を向いて言いました。

「妹というだけだ。それ以外の何者でもない」

 オルコットさんがそのことについて言うと篠ノ之さんが凄みのある声で答えます。
 珍しい苗字ですし、まさかと思っていましたけど……

 でも篠ノ之さんは篠ノ之さんなりに天才の妹、ということで苦労してきたんでしょう。
 その顔は「その話をするな!」と言っています。

「ま、まあ? どっちにしてもクラス代表はこの私以外はありえないのですけど?」

 気迫に押されて最初キョドりましたね。

「相変わらず口が回るようだが、いつまで教壇の前で仁王立ちしているつもりだ馬鹿者が」

バシィ!

「痛っ!」

 いつの間に教室に来ていたのか、織斑先生の出席簿がオルコットさんの頭に振り下ろされました。

「うう……ま、まだチャイムは鳴って……!」

 キーンコーンカーンコーン

「あ……」

「何か文句があるのか?」

「も、申し訳ありません」

 痛む頭を抱えながらオルコットさんがスゴスゴと席に戻っていきます。織斑先生には一生勝てないと改めて思いました。
 チャイムが鳴ったすぐ後に山田先生が入ってきましたが……

「あ、あれ? 織斑先生? 私より後に職員室を出たはずじゃあ……」

「何を言ってるんです山田先生。熱でもあるんですか?」

「あれ? あれ~???」


 勝てる勝てない以前にこの人本当に人間なんでしょうか?
 
 

 
後書き
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