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迷子の犬

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第一章

               迷子の犬 
 アメリカテキサス州エクター郡オデッサのオデッサ警察署に勤務しているラスティ=マーティンは警官になってまだ日が浅い、巡査で若い外見の白人であることからもそのことがわかる。
 彼はこの時署で受付をしていたが。
「ワンワン」
「えっ、犬か」
 警察署に犬が入って来た、それでだった。
 驚いていると先輩が言ってきた。
「まあ落ち着け」
「はい、犬が来てもですね」
「銃を持った暴漢じゃないだろ」
「そうですよね」
「だったらな」
「驚くこともないですね」
「ああ、それに首輪してるな」
 そのシェパード、茶色と白の毛の犬を見てさらに言った。
「誰かの飼い犬だ」
「それなら余計にですね」
「驚くことはない」
「そうですよね」
「落ち着いてこの犬を見ればいいさ」
 こう言うのだった。
「今はな、どんな犬かな」
「じゃあ調べますか」
「ワンワン」
 犬は後ろ足で立ってそうして署の受付のカウンターに身を乗り出していた、それはまるで話を聞いて欲しいかの様だった。
 マーティン達はその犬を調べた、するとIDタブが外れていた、その為どういった犬かわからないが雌だとわかった。 
 それで署から各保護団体に連絡した、すると次の日。
 背の高い逞しい身体の青い目と口髭を生やした白い髪の毛の四十代位の男が来てそのうえで言ってきた。
「ここに雌のシェパードがいるって聞いたんだが」
「昨日ここに来たんですよ」
 マーティンはその男に答えた。
「実は」
「それチコじゃないか」
 男はマーティンに応えて言った。
「うちの、そう思ってな」
「来られましたか」
「散歩中にリードが外れて逃げたんだ」
「それで、ですか」
「探してたんだよ、ネットの方でもな」
「それでここにいると聞いて」
「それで来たんだが何処だい?」
 その犬はというのだ。
「一体」
「こっちにいます」
 こう言ってだった、そのうえで。 
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