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イベリス

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第六話 入学式の後でその二

「量としてはね」
「問題ないのね」
「ええ、食べてね」
 こう愛に言った。
「そうしてね」
「ええ、あとお酒持って来たから」
 愛は実際にワインのボトルを一本出してきた。
「咲ちゃんにプレゼントよ」
「あっ、有り難う」
「早速飲んでね」
「だからお酒はね」
 母はその従姉に言った。
「あまり」
「だからお家の中だから」
「それでなの」
「大目にってことで」
 それでというのだ。
「許してね」
「全く。仕方ないわね」
「それじゃあ今から乾杯ね」
「そうしましょう」
 愛に応えてだった、彼女を交えた一家は乾杯をしてだった。
 咲の入学祝いをはじめた、その中で。
 咲はハンバーグやグラタンを食べながらワインを飲んでそうして言った。
「いよいよなのよね」
「明日からね」
「私も高校生ね」
 こう母に応えた。
「もうすっかり変わって」
「中学までとはね」
「本当にね」
「奇麗になったわよ」
 母は娘に微笑んで言った。
「眼鏡外してメイクしてね」
「髪型変えて」
「そしてファッションもね」
 これもというのだ。
「変わってね」
「奇麗になったのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「後は悪い人にね」
「引っ掛からない様にすることね」
「そうしてね」 
 娘にビールを飲みながら笑顔で話した。
「いいわね」
「わかったわ」
 娘も応えた。
「絶対にね」
「気をつけてね」
「そうしていくわね」
「悪いことにもよ」
 悪人だけでなくというのだ。
「いいわね」
「そうよね、そっちにもね」
「充分にね、東京だから」
「悪い人も悪いことも多いから」
「だからね」
 そうした街だからだというのだ。
「充分に気をつけてね」
「そうするわね」
「私もこれまでずっと言ってたけれど」
 愛はカルピスサワーのロックを飲みながら咲に話した。
「本当にね」
「悪い人と悪いことには」
「注意して」
「そしてよね」
「やっていってね、これまで言った通りね」
「外見や目ね」
「そういうのを見て」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「見極めて」
「近寄らないことよ」
「そうよね、悪人は出るのよね」
「笑い方にもね」
 これにもというのだ。 
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