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【自作イラスト追加しました】ちゃちゃっと絵を描く能力で世界最強!~追放されたい俺を女神さまが放してくれない~

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この世界の神話、魔王誕生編と聖女の関係について

 固有魔法(チート)はそのままわかりやすい名前の方が少ないらしい。
 そして使い方によっても意外性に富むものが多い。
 だから相手の能力の【書き換え】といっても、

「正式な能力名は?」
「【香りの魅了(フレグランス・チャーム)】。香り、つまり能力という魅力を付加させる、という意味ね」
「じゃあ、書き換えじゃなくて付加なんじゃないのか?」
「まあね。でも使い方としては、大体同じものよ?」
「でも能力関係は、厳密なそのニュアンスで出来る事やアイデアの閃きが変わってくるから……どうなんだ?」
「私の場合そこまでまだ試せていないから。今の所固有魔法関連を書き込むのは……魔力のせいなのかそういったものも含めて無理。せいぜい、『水の中でも呼吸が出来る』といった付加魔法をつけたりできるくらい。そこまで大きな影響を与える魔法は無理だから、ほぼ使えない魔法と思ってもらって構わないわ。以上が私の説明。次はクレア、お願い」

 そこまで一通り話して今度はクレアと呼んだ少女に代わる。
 金髪碧眼のこちらも美人だけれど気が強そうだ。
 そしてまだ少し警戒が見える。と、

「私の名前は、クレア・ロードエンド。この世界では【聖女】って呼ばれている」
「そうなのか。そういえば他の国には聖女ちゃんがいるのよ~って女神さまに聞いた気がする」
「……貴方の会った女神さまは、フェリル様?」
「そうそう」
「ちなみに私の国の管轄女神、アリル様は現在行方不明よ」
「え? 女神が行方不明ってよくあるのか?」
「ないわ。聞いた事もない。でもそれもあって私たちの国に魔王が侵攻してきて、特に【聖女】である【私】を狙っているのね」

 ぽつりとつぶやいた。
 どうやら【聖女】を狙って魔王の襲撃があるらしい。
 でもそういえば【聖女】という名前しか聞いた事が無い。

「【聖女】ってどんな能力があるんだ?」
「別に、普通の人よりも魔力が少しばかり強くて魔法も強くて、後は固有魔法(チート)が発現しやすいだけ。その程度しか特別でないし、聖女の血筋にそれが発現しやすいくらいかしら」
「魔王に何か一撃を浴びせられるとか困る能力とかないのか?」
「その時の【聖女】がその能力てお手伝いした程度で、それ以上はやった記録は無いわね。でも【聖女】が魔王に狙われるのは……私怨よ」
「私怨?」

 そこで俺は首を傾げた。
 私怨で魔王に聖女が狙われているらしい。
 しかも能力は関係ないらしい。

 よく分からずに俺が困惑していると、

「魔王が生まれた経緯の神話について知ってる?」
「いや? 女神さまも思い出したくない、と言っていたから。あ、でも聞いても大丈夫そうなら聞く」
「……多分聞いていい方だと思うわ。実はこの世界には以前五人の神がいたそうなの。その内一人は幼い男の優秀な神様で、残りは女性の神様だったのだそう。なんでも神々の世界で、男性神ばかりなので女性の神も増やそうではないか、といったものの一環だそうよ」
「……」
「それで、私たちの世界の少年神ゼロ様と、女神フェリル様、アリル様、ヴェリル様、エリル様の五人が最初にいたけれど、その中のエリル様という……女神さまがものすごく性格が悪くて、嘘を吹き込んだり、女神さま達を争わせるような嘘を言ったり、少年神に変な態度をとったりとやらかしていて、他の三人の女神さまに嫌われていたらしいの。そしてある日三人で女神さまがパーティをしていたら、そのエリル様という……女神さあが呼ばれなかった腹いせに、三人の中で最も【美しい女神】に送る、と言って一個のリンゴを送ったらしいの」

 そこまで聞きながら、この神話、どこかで聞いたようなことがある気がするな……と俺が思っていると、

「それで三人の女神さまが争いになって、少年神のゼロ様が、何とか三人に仲直りして欲しくてある【少女】にお手伝いをお願いしたの。そしてその【少女】は女神さま達に、私を選んだら富を上げるわよ~、といった誘惑をされたようなのですが、彼女の出した結論は『そのリンゴを三つに分けて食べるべきです。美しさの形は一つではありません。それを一つとする事が間違いなのです。木々の葉の木漏れ日と宝石の輝きを同列の美しさで比較するのですか? できません。けれどどちらも美しいのです。ですから比べる事は出来ない【美】なのです。ですからそれを三つに分けて食べ、わざと争わせるように言ったその女神さまをボコボコにしに行きましょう』といったそうなの」
「うん、俺の知っている神話じゃなかった」
「え?」
「いや、なんでもない、続けて」
「……それでそのエリル様を三人の女神さまがボコボコにしたら魔法が解けて、実は男性の神様だってバレたの。神様のルールで女神さまの枠で入ったから、当然ルール違反になって失格になり、この世界の神様はやらせてもらえなくなって今はどうしているか分からないらしい。ただ、腐っても神様だったので、その怨念が魔王という形で残って時折復活することになったの」
「そ、そうか」
「そしてその提案した少女が初代聖女で、結局、ちょっと優れた魔力などが子孫にも発現するようにしてもらう、というよ願いを叶えてもらう形になったらしい。それで、その時のご縁で気に入られたせいか時々私たちの所に女神さまが遊びに来たりするの。そして、追放された原因である私達聖女を、魔王の怨念が狙っていたりするのだけれど……大抵女神さまの庇護下にあるからそこまで危険にはならないはず、だったんだけれど」
「女神さまがいなくなった?」
「そう。それもあって、元々昔からこっそりリセとはあって遊んだりしていたから……事情を知った時は驚いたけれど、一緒に逃げてきたのよ」

 そんな話を聞いて俺は、きっかけに関してはスケールが小さいのに何で大ごとになるんだろうなとか、強い力を持つ物が稚拙だと大変なことになるんだなと、他人事のような感想を持ったのだった。
 
 

 
後書き
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