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家猫かと思っていると

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第一章

               家猫かと思っていると
 ロシアのノボクズネスクの近くで農業を営んでいるミハエル=ゴルーチンは畑仕事をしている時に一匹の子猫を拾った、そしてだった。
 その猫を家に連れて帰ってそのうえで妻のタチヤナ=ゴルチコワに話した。二人共金髪碧眼で色白で丸々とした中年だ。だが妻は小柄で夫は大柄だ。
 そのまだ目を開いてもいない子猫を見て妻は言った。
「何かがっしりしてるわね」
「子猫なのにな」
「ニャ~~~」
 子猫は夫に抱かれて大人しくしている。
「そうだな」
「そうね、けれどうちの畑にいたなら」
「親とはぐれたんだろうな、母親は待っても来なかった」
「そうだとこれから大変だから」
「ちょっと助けるか、あと三匹いるけれどな」
「じゃあその子達も皆うちに入れて」
 妻は夫の言葉を受けて言った。
「そしてね」
「そうしてね」
「一緒に行こうな」
「そうしましょう」
 笑顔で言ってだ、そしてだった。
 夫は残り三匹の猫も入れて連れてきた、そして息子のイワノフと娘のエレナそれぞれ乳と母によく似た子供達と家に最初からいるシャム猫の夫婦のダイヤとルビーと共にだった。
 四匹の子猫を家族として育てた、その中で。
「ニャ~~~」
「ニャ~~~」
「ウニャア」
「ウニャッ」
「ニャッ」
「ナアオッ」
「何かな」 
 ダイヤそしてルビーと遊ぶ四匹を見てだった、夫は妻に言った。
「最初から思っていたが身体つきががっしりしていてな」
「顔立ちも普通の猫じゃないわね」
「家猫じゃないだろ」
 四匹共というのだ。
「そうだろ」
「そうみたいね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「ちょっと動物園の人に見てもらうか」
「どんな猫か」
「そうしようか」
 こう言ってだ、夫婦は四匹を連れて動物園に行って彼等を見てもらった。二匹が雄で二匹が雌でそれぞれイワン、ピョートル、エカチェリーナ、エリザベータといった。
 四匹を見てだ、動物園のスタッフであり自然保護区のディレクターであるワディム=キリリューク茶色の髪で黒い目で背の高い彼は夫婦に話した。
「普通の猫じゃないですね」
「やっぱりそうですか」
「何か違うと思ったら」
「この子達はヌマルネコです」
 この種類の猫だというのだ。
「中央アジアに広く分布している野生の猫です」
「野生ですか」
「ですから家で飼う猫ではありません」
 キリリュークは夫に話した。
「残念ですが」
「それじゃあこの子達は」
「ァ世に返しましょう、実はです」
 キリリュークはここでだった。
 もう一匹ヌマルネコを出してきた、見れば四匹と同じ位の大きさである。
「女の子でダーシャといいます」
「ウニャア」
 やはり鳴き声が普通の猫と少し違う、身体つきも外見もだ。 
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