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イベリス

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第三話 少しずつでもその六

「いいことがね」
「あるのね」
「そう、だから咲ちゃんもね」
「いいことをすることね」
「出来るだけね、まあ私はね」
 愛は自分のことは笑って話した。
「悪い子だから」
「自分で言うの」
「自覚あるから」
 笑って言うのだった。
「それで何時か天罰が下るわよ」
「まさか」
「自分ではそう思ってるわ、けれど咲ちゃんはね」
「いいことをしていくことね」
「そうしたらいいわ、あと最近モコちゃん元気?」
 今度は咲の家の愛犬のことを聞いてきた。
「最近会ってないけれど」
「元気よ、相変わらずよく食べるし」
 咲は従妹に愛犬のことを明るい笑顔で話した。
「それでお散歩の時もね」
「元気なのね」
「小さい尻尾を動かしてね」
 左右に振ってというのだ。
「いつも楽しんでるわ」
「それは何よりね」
「それで恰好はぬいぐるみみたいで」
「相変わらずそうなのね」
「毛並みもいいわよ」
「可愛がって大事にしてるのね」
「家族全員でね」
「じゃあいいわ、私もモコちゃん好きだし」
 咲の家の家族である彼女をというのだ。
「今度会いに行くわね」
「そうしてね」
「可愛がっていってね、ただね」
「ただ?」
「可愛がっても太り過ぎには注意よ」
 このことにはというのだ。
「いいわね」
「ああ、そのことにはね」
「やっぱりワンちゃんもね」
「太り過ぎにはよね」
「要注意だから」
 それでというのだ。
「そのことにはね」
「注意して」
「一緒にいてね、モコちゃん太ってるかわかりにくいでしょ」
「それね」 
 咲はその通りという顔で答えた。
「実はね」
「気になってるでしょ」
「あの娘小さいし体型がずんぐりしてるから」
「元々ね」
「足が短いからね」
「あの娘トイプードルでも小さい方でしょ」
「タイニーっていうけれどティーカップ位?」
 トイプードルでも小さい方だというのだ。
「それ位よね」
「確かに小さいわね」
「そうでしょ、トイプードルの中でも」
「それであれはドワーフタイプよね」
「足が短いから」
 それでというのだ。
「そうなるわね」
「ええ、そんな体型だから」
 愛は咲に話した。
「余計にね」
「太ってもわかりにくいのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「気をつけてね」
「さもないとわからないのね」
「太ったかどうかね」
「元々そうした体型だと」
「余計にね」
「そうしていくわね、モコはよく動くけれどよく食べるしね」 
 太る心当たりはそれだった。 
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