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ワイルド突っ込み

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第一章

                ワイルド突っ込み
 雑賀静は高校時代からの恋人であり同じ漫才部に所属していて今は共に所属している芸能事務所である八条芸能において甲賀或人とコンビを組んで漫才をしている、二人は高校を卒業してすぐに養成所に入って勉強してデビューしたが。
 すぐに評判の人気コンビとなった、それは何故かというと。
 或人の絶妙なボケとだった。
「そんなのあるかい!」
「おっ、出たな」
「雑賀の突っ込み」
「いきなりハリセンか」
「いいタイミングで出すな」
「それもいい叩き方だな」
「思いきり痛そうだよな」
 そのハリセンの突っ込みをファン達が観て言った。
「あの痛そうなのがいいよな」
「かえってな」
「見事な突っ込みだよ」
「やっぱり突っ込みはああでないとな」
「最近漫才師も駄目だからな」
「面白くないのが増えたよ」
 目の肥えた者達はこうも話した。
「漫才していても笑わせようってな」
「その気迫もなくてな」
「ただ人気が出る仕事だからやってる」
「アイドルとか俳優になれなくて」
「そう思ってなる奴多いな」
「そこでのし上がることばかり考えて」
「のし上がるのはいいさ」
 そう思うことはというのだ。
「金持ちになって芸能界で天下取る」
「そう思うのはいいけれどな」
「笑わせて、漫才師としてじゃなくてな」
「タレントとしてだからな」
「だから面白くないんだよ」
「目が笑ってないんだよ」 
 漫才をしてもというのだ。
「そんな漫才師増えたけれどな」
「この二人は違うな」
「仕事はちゃんと漫才軸にしていて」
「舞台の上でやってるしな」
「こうした漫才師がまた増えて欲しいな」
「昔のやすきよはよかったな」
「巨人阪神とかいとしこいしもな」
 こうした昔のコンビのことも話された。
「昔の漫才師みたいにな」
「漫才で笑わせてのし上がる」
「そうじゃないと駄目なんだよ」
「その点この甲賀雑賀はいいな」
 二人のコンビ名だ、二人の名字をそのまま使っているがこれがどちらも忍者なのでそれでいこうとなって決まったのだ。
「ちゃんと漫才してるぜ」
「甲賀のボケがまずよくて」
「雑賀の突っ込みが最高だ」
「その痛そうな乱暴な突っ込みがな」
「本当にいいな」
 こう話すのだった、二人はお笑いの本場関西でもう知らぬ者はいないまでになり東京でも仕事をする様になっていた。
 その中で静は或人に漫才の練習の合間の休憩時間の時に大好きなサイダーを飲みながら或人に尋ねた。腰まで普通に届く黒髪を後ろで束ねていてやや切れ長の大きな目で眉は細く色白で唇は赤い。背は一六六位で胸がやけに目立ち安産型でグラビアでもやっていけそうだ。ただ今は練習中なので色気のない黒のジャージ姿だ。
「ちょっとええか?」
「どないした?」
 或人はペットボトルのコーヒーを飲みながら返した。茶色と金の髪の毛を上だけ伸ばしていて豹来そうな顔立ちで目は細い。背は一七三程で普通位の体格だ。彼は赤いジャージ姿だ。 
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