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寒い雪の降る中で

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第二章

「幾ら行こうと言っても」
「飼い主を待っているのでしょうか」
 グイドはその話を聞いて言った。
「だからでしょうか」
「首輪がないですが」
「おそらく飼い主は捨てたのでしょう」
「この子を」
「そうでしょう」
「よくあることですね」
 地元の人はグイドの言葉を受けて顔を顰めさせた、そのうえでの言葉だった。
「本当に」
「そうですね」
「では尚更ですね」
「この子を保護しないといけないですね」
「ですがずっとです」
「ここから動かないですか」
「はい」
 そうだというのだ。
「幾ら言っても」
「そうですか、ですが無理強いはです」
 グイドはこれまでの活動の経験から地元の人に話した、そんなことをしても犬も他の生きものも動かないとだ。
「出来ないですから」
「何度も言ってですね」
「来てくれるまで」
 その時までというのだ。
「待ちましょう」
「それしかないですね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「根気よく続けていきましょう」
「そうしますか」
「何日かかっても」
「その間ご飯も用意して」
「そうしていきましょう」
 これまでの経験からこう言った、そしてだった。
 グイドは犬に何度も行こうと穏やかに言ったが犬はそこにじっといて。
 この日は諦めてそれで地元の人に言った。
「ではまた明日」
「この子に声をかけますか」
「施設にも連絡をして」
「保護活動をしているので」
「はい、保護されるまで」 
 その時までというのだ。
「待ちましょう」
「それでは」
 地元の人も頷いた、そうしてだった。
 グイドは次の日も犬のところに来て声をかけた、だが。
 犬派この日も動かなかった、ご飯も食べない。それでもグイドは諦めず。
 次の日もそうした、また次の日も。しかし犬は動かず地元の人は犬を心配する顔で見ながらグイドに言った。
「中々ですね」
「はい、ご飯も食べんないので」
「弱ってもきていますね」
「そうですね、ですが倒れたら」
「その時もですね」
「保護します、きっとです」
 グイドの返事は強いものだった。
「この子もです」
「保護出来ますね」
「それが出来ます」
 間違いない、そうした返事だった。
 そして二人で頑張っていると遂にだった。
 犬はご飯を食べた、そしてグイドが行きましょうと言うとついていった、そして施設に入るとここでだった。
 犬のことを調べた、犬は雄だったが。
「マイクロチップはなくてですか」
「身元はわかりません」
「ではやっぱり」
 グイドは施設の人から話を聞いて困った顔で言った。
「この子は」
「飼い主に捨てられました」
「そうですか」
「はい」
 まさにというのだ。 
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