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歪んだ世界の中で

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第九話 決意を述べてその一

                  第九話  決意を述べて
 希望は千春にだ。真人に述べた決意をだ。
 プールの帰りにだ。水の中にいて爽やかになった中で午後の日差しを浴びつつだ。千春に話したのだった。
「もうね。家からはね」
「出てなのね」
「両親とは別々に暮らそうって思ってるんだ」
「中間テストの結果次第でなのね」
「そうするよ。いい結果が出たら両親の言葉を出してね」
 他ならぬだ。彼等のだというのだ。
「それで家を出るよ」
「そしてどうするの?」
「一人暮らしはよくないって友井君に言われたけれど」
 それでもだというのだ。千春に対しても。
「もう親とは離れるよ。今考えてるのはね」
「前に希望が話してた?」
「そう。おばちゃんと一緒に暮らしたいね」
 希望にとって大叔母のだ。彼女とだというのだ。
「おばちゃんはいつも僕のことを認めてくれる人だから」
「凄くいい人よね」
「僕にとって。本当の親みたいなものだよ」
 そこまでの人だとだ。希望は深い愛情と共に答えた。
「本当に親だったら。有り難かったけれどね」
「その人一人暮らしなの?」
「妹さん。僕にとってもう一人のおばちゃんだけれど」
「その人となの」
「二人で暮らしてるよ」
 そうしているというのだ。つまり老婆二人暮らしだ。
「二人共昔は結婚してたけれど」
「今は?」
「二人共ね。旦那さんが先に死んで」
 そしてだというのだ。
「子供さん達も皆独立してね」
「だから二人なの」
「そうなんだ。姉妹で暮らしてるんだ」
「じゃあ希望にとっては」
「二人共お祖母ちゃんみたいなものだよ」
 とても暖かい顔になってだ。希望は二人のことを話した。
「その人はおばちゃん、妹さんはポポちゃんって呼んでるけれどね」
「ポポちゃん?」
「何か昔からその仇名で」
 そのだ。おばちゃんの妹のそれだというのだ。
「そう呼ばれているんだ」
「だから希望もそう呼ぶのね」
「そうだよ。二人共凄くいい人でね」
 その暖かい顔での言葉だ。
「僕。いつも二人に可愛がってもらってるんだ」
「その人達と一緒に」
「暮らせたらいいな。僕の親っておばちゃん達を嫌ってるけれど」
「何でなの?」
「二人共自分勝手で。自分達以外の人間は嫌いだから」
 残念ながらそうした人間もいる。鼬の様だが鼬より性質が悪い。
「そうした人達だからね」
「難しいね。そういう人達って」
「一度おばちゃん達に話してみるよ」
 その二人にだというのだ。
「おばちゃん達さえいいって言ってくれたらね」
「おばちゃん達と一緒に暮らすのね」
「そこから学校にも通えるから」
 その条件もあるからだというのだ。
「そうしたいね」
「そうなるといいね」
 千春は希望の横から彼に言ってきた。
「希望にとっていいことだよね。それにね」
「それに?」
「千春その人達にはまだ会ってないけれど」
 だがそれでもだとだ。千春は言うのだった。 
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