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野良犬と野兎

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第一章

               野良犬と野兎
 アメリカでトラックの運転手をしているダン=クルーガーはこの時仕事で高速道路を走っていた。その時にだった。
 高速道路の脇に一匹の野良犬を見た、それで一緒に乗っている同僚に言った。
「犬がいたな」
「ああ、今な」
 白人の同僚はアフリカ系で大柄で筋骨隆々の身体で一見するとアメリカンフットボーラーに見える彼に応えた。
「いたな」
「高速道路にいたらな」 
 車が高速で行き交うそこにというのだ。
「危ないからな」
「それでか」
「ああ、何かない様にな」
 その為にというのだ。
「ちょっと保護するか」
「お前も相変わらずだな」
 同僚は運転しつつ言うダンに笑って応えた。
「それで今からか」
「ちょっと高速を出てな」 
 そうしてというのだ。
「それでな」
「ああ、すぐにか」
「犬を保護しような」
「その話乗ったぜ」
 同僚も笑顔で応えた、そうしてだった。
 ダンと同僚は一旦高速を出てだった。
 犬のところに向かった、すると。
 そこにはジャックラッセルテリアがいた、白地で茶色の模様があった。その犬を見てだった。
 ダンはまずはほっとして同僚に言った。
「よかった、まだな」
「車にはねられてないな」
「ああ、そのことはな」
「よかったな」
「だからな」
 それでというのだ。
「もっとよくなる為にな」
「この子を保護するか」
「そうしような」
「助けられる命は助けるか」
「そうしないと駄目だってな」
「お前はいつも言ってるな」
「だから今もな」
 是非にというのだ。
「この子助けような」
「それじゃあな」
 こう話してだった。
 二人は犬に近付いた、そうして声をかけた。
「助けに来たぞ」
「こっち来てくれるか?」
「安心してくれ、家族を見付けてやるから」
「俺達のところに来てくれるか」
「ウウ・・・・・・」 
 だが犬は。
 唸って近寄らない、それを見てだった。
 ダンはどうかという顔になって同僚に話した。
「俺達を信じられないか」
「まあ初対面だしな」
「それは仕方ないか」
「じゃあご飯あげて」
「それで安心してもらうか」
 二人で話して丁度ダンが持っていたサラミを出そうとした、だが。
 犬は不意に二人に踵を返して歩きだした、そして二人の方を振り向いた。
「これは」
「そうだな」
 ダンも同僚も犬の仕草でわかった。
「来いってことだな」
「そう言ってるな」
「それならな」
「ついて行くか」
「そうするか」
 二人で頷き合ってだった。
 そうして犬について行った、すると。 
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