| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

目がなくなっても友達が

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

               目がなくなっても友達が
 スタイプ家の愛犬チャーリーは十一歳になった、だが気付いたらだった。
 緑内障になってしまっていた、獣医に診せるともう目を除去するしかないと言われて家の主であるヘンゼル還暦になって髪の毛がすっかり白くなった灰色の目の白人男性である彼はもう老婆になっている妻のチェルシーに苦い顔で言った。
「それしかないのなら」
「そうね、もうね」
 妻も苦い顔で応えた。
「チャーリーの目は」
「手術して」 
 そしてというのだ。
「取り除いてもらうか」
「それしかないから」
「さもないと目が痛いそうだから」
「仕方ないわね」
「チャーリーの目は見えなくなるが」
「それでもね」
 こう話してだった、夫婦は泣く泣く家の愛犬、茶色の垂れ耳の大型の雄犬である彼の目を手術で除去した。こうしてだった。
 チャーリーは目が見えなくなった、当然生活のあらゆることに支障が出る様になった。それで彼もすっかり塞ぎ込んでしまった。
 そんな彼を見て一家の息子で頑張って働いているミッキーはこう提案した。
「見ていられないからな」
「だからか」
「それでなのね」
「もう一匹迎えて」
 犬をというのだ。
「そうしてな」
「それでか」
「チャーリー今凄く落ち込んでるけれど」
「心の支えになってもらうか?若しその犬が保護犬ならその子を助けることになるし家族も増えるから」
 金髪が見事で青い目が奇麗な顔であった、背は一八〇あり均整の取れたスタイルをしている。
「その犬にとっても僕達にもいいし」
「そうだな、それじゃあな」
「チャーリーのお友達にね」
「新しい子を迎えよう」
「そうしましょう」
 両親は息子の言葉に頷いた、そうしてだった。
 実際に新しい家族を迎えた、その家族は。
 チャーリーと同じく垂れ耳で雄だが大きさは彼より幾分小さい。一歳位のその犬が家に迎えられた。
 その犬を家に迎えてだった、息子は両親に話した。
「マーベリックっていうんだ、凄くいい子らしいよ」
「凄く優しい目をしてるな」
「大人しそうね」
 両親はそのマーベリックを見て言った。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧