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もう一つの"木ノ葉崩し"

作者:ぬんすち
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第十話―撃破

里の西部では,ヒルゼンが雲隠れの忍を相手に有利に戦いを進めていた。

「そろそろ終わりにしてやる!」

「くっ……!」(くそっ,こいつ忍術も体術も全然スキがねえ……!幻術は得意じゃねえし……どうすりゃいい……!)

バッバッ!

ヒルゼンが印を結ぼうとした,その時……

「大丈夫か!?」

スタッ!スタッ!スタッ!

三人の雲隠れの忍がその場に合流し,ヒルゼンの左右と後方から取り囲むようにして立つ。

「お前ら!」

「しまった,増援か!」

ヒルゼンは印を結ぶ手を止め,四方の敵に注意を分散させる。

「ったく,手こずりやがって。さっさと片づけるぞ!」

「すまん!だが気を付けろ,コイツかなりやりやがる!」

「へっ,この人数なら問題ねえ!一気に行くぞ!」

バッバッバッ!!

雲隠れの忍たちは,周囲から一斉にヒルゼンに攻撃を仕掛ける。

「くっ……それなら……!」

サッ!

ヒルゼンは左右の人差し指と中指,二本ずつで十字に印を結ぶ。

「扉間様直伝……!影分身の術!!」

ボン!

すると,本体のヒルゼンと合わせ卍の陣を組むようにして,三体の分身が現れる。

「分身か!」

「フン,無駄だ!実体をもつ本体は1つだけ,所詮は子供だましだ!全員そのまま行け!」

ガッ!!


~~~~~


里の北東部――

キイィィィン!!!

ダンゾウが手にしたクナイを一振りすると,高い金属音と共に一方の刃が弾き飛ぶ。

「ば……馬鹿な……!!」

「雷遁チャクラを流して高周波振動を起こした剣か……なるほど,普通の武器で防ごうものなら武器ごと真っ二つってわけだ。ガード不可とは良く言ったもんだ。」

地面には,先端がポッキリと折れたクナイ,そして……

「だが残念だったな……,」

「貴様……!風遁使いか……!」

同じく折れた,剣先が落ちていた。

「……俺のクナイも,ガード不可だ!」

ブゥゥゥーン……

ダンゾウの持つそのクナイからは,風遁チャクラ特有の鋭い唸り音が上がった。


~~~~~


里の東部――複数人の雲隠れの忍に取り囲まれているタイヨウだったが,その表情には一切の焦りの色は見られなかった。

「増えたな……まだこんなに居たか。だが,いかに人数を増やそうとも同じこと!」

「くそっ,コイツどこから攻撃してもまるで正面みたいに簡単に捌きやがる!」

「どうなってんだ……頭の後ろに目でもついてんのか……!?」

むしろ,包囲している雲隠れの忍たちの方が,余裕を失っている。

「不意打ちも意味ねえ……こうなったら一斉に行くぞ!」

「おう!」

「むっ……!」

バッバッバッ!!

雲隠れの忍は,タイミングを合わせ周囲から一気にタイヨウへ向かって突っ込む。

「手数で勝負すりゃ,対処のしようがねえはずだ!」

「ならば……」

ザザッ!!

「!?」

タイヨウは足を開いて地面を蹴り全身を回転させる。

「八卦掌・回天!!」

全身からチャクラを放出しながら回転し,その勢いで周囲に群がった敵を一斉に吹き飛ばした。

「ぐあっ!」

「ぐおっ!」

「終わりだ。」

サッ!

タイヨウは回天を止め,吹っ飛ばされて怯んだ敵に片っ端から攻撃を撃ち込んでいく。

ドドドドド!!!

「ぐあ……くそっ,この程度の攻撃が何だ……!」

一人の敵が起き上がり反撃に出ようとするが……

「止めておけ。内臓にピンポイントでダメージを与えた。安静にしておいた方が良い。」

「……!!ぐわぁっ……!!こ……この攻撃は,さっきの……!貴様,一体……」

もはや満足に体も動かせないその忍は,地面に手を着いたままタイヨウを見上げるだけで精一杯だ。

「……!その眼……貴様も瞳術使いなのか……!?」

「今さら気づいたか。」

「写輪眼だけじゃねえのか……いや,こんなの……写輪眼どころのレベルじゃねえ……!」

タイヨウは,倒れ込んだ雲隠れの忍たちに背を向け,去り際に言い放つ。

「木ノ葉に白眼ある限り,貴様らの好きにはさせん。覚えておくが良い,日向の瞳術は木ノ葉最強!」


~~~~~


「か……体が……動かねえ……!」

カガミの前には,倒れ込む雲隠れの忍の姿。その周りには,四本もの剣が無造作に散乱していた。

「もうそのままじっとしていろ。これ以上攻撃する気はない。無理に抵抗するな。」

「これが写輪眼の幻術なのか……!へっ,反則だぜ,こんなん……。」

手も足も出なかった彼にできることと言えば,ただ吹っ切れて苦笑いすることくらいだ。

「ふっ……。"写輪眼"……,名前はよく聞くだろ?だが……誰も彼も,認識が甘いんだよ。写輪眼をナメすぎだ。」

カガミもまた軽く笑いかけ,無闇に追撃をしようとはしなかった。

「じゃあな。まだ他にも暴れてるやつが居るみたいだから,俺は行く。お前はもう暴れんなよ?」

「へっ……暴れる気力も残っちゃいねえよ……。」


~~~~~


ガッ!

「何……!?」

「バカな……全部実体……!?」

「これは……ただの分身じゃねえ!」

四方からの攻撃を,四人のヒルゼンがそれぞれ受け止める。

「フン!」

「ぐわっ!」

ヒルゼンたちは,敵の攻撃を受け止めたまま各々回転して,内側に向けて投げつける。今度はヒルゼンの方が雲隠れの忍たちを取り囲む形だ。

「これで終わりだ!」

バッ!

ヒルゼンたちはそれぞれ少しばかり後ろに下がって距離を取り,ホルスターから取り出した手裏剣を四方から投げつける。

「食らえ!手裏剣……」

「くそ!いくら包囲してるからと言って,ただの手裏剣ごとき……!」

バッバッバッ!

「……影分身!!」

ヒルゼンが印を結ぶと,投げた手裏剣の数が更に何倍にも増える。

「!?なんだ,この数……!!」

グサッグサッグサッ!!

「ぐああぁぁっ!!」


~~~~~


「終わりだ。」

「チッ!」

ガッ!

雲隠れの忍は,クナイを振り抜こうとしたダンゾウの手を直接つかんで攻撃を止める。

「確かにガード不可だが……こういう止め方はできるんだよ!」

「……さすが,お前自身の得意技でもあるからな。対処法も知ってるってわけか。」

「おうよ!こっちを抑えちまえば俺の攻撃も防がれねえ!」

雲隠れの忍は,ダンゾウの手を抑えている方とは反対側の手で雷遁を纏った剣を持ち,ダンゾウに向ける。

「こっちこそ,終わりにしてやるよ!」

剣を振り下ろそうとした,その時……

「……じゃあ,こういうのは知ってるか?」

「!?」

ダンゾウはクナイを持たない方の手で人差し指と中指を伸ばす。

「クナイを使う時より威力は落ちるが……」

「……!!まさか!素手でも風遁を……!」

「……風の刃は防ぐすべなし!」

ズバッ!!!

「!!!」 
 

 
後書き
お読みいただきありがとうございます!

各地で勃発していたヒルゼン,ダンゾウ,タイヨウ,カガミら若き忍たちの戦闘がついに決着!残すは雲の暴れん坊・金銀兄弟,そして滝の刺客・角都,勝負のゆくえやいかに……! 
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