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オズの木挽きの馬

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第十一幕その五

「城は全て焼け崩れたのです」
「本当に間一髪だったんですね」
「そうでした、ですが我等全員何とか右大臣様をお救い出来まして」
 十蔵さんが恵梨香にお話します。
「逃れられたのです」
「そうだったんですね」
「そして薩摩に逃れて」
 鎌之介さんも言います。
「右大臣様はそこで余生を過ごされ」
「皆さんは」
「それからは海に出て世界を巡ったのだ」
 才蔵さんが以後のことをお話しました。
「最後は皆日本に戻った」
「冒険をされたんですね」
「その冒険がまた楽しかったのだ」
 佐助さんが言いました。
「実にな」
「その話はおいおいさせてもらう」
 清海さんは大きなお口を開けて笑いました。
「やがてな」
「では我等はまた行こう」
 小助さんは明るく言いました。
「旅にな」
「ええと、よかったら」
 ここで恵梨香は幸村さん達に言いました。
「牧場に行きませんか?」
「牧場というと」
「私達黄金の羊を牧場に戻しに行きます」
 恵梨香は幸村さんに答えました。
「今から」
「そのことは佐助達から聞いている」
「それでご存知なのですね」
「無事に見付かって何より」
「有り難うございます」
「では牧場はレッド牧場か」
「そちらに寄られては」
「うむ、では旅の途中に」
 幸村さんは恵梨香に微笑んで答えました。
「立ち寄らせてもらう」
「宜しくお願いします」
「それとだが」
「それと?」
「貴殿達はオズの国に何度も来ているな」
「はい」
 恵梨香は幸村さんに微笑んで答えました。
「二十回以上は」
「この国はいい国だな」
「そうですよね」
「明るくて楽しくて平和でな」
「本当に素晴らしい国です」
「拙者もこの国に来られてな」
 そしてというのです。
「よかった、しかも大助も十勇士達も一緒だ」
「だから余計にですね」
「我等十一人は生まれた時と場所は違うが」
 それでもというのです。
「死ぬ時と場所は同じと誓い合った」
「だからですね」
「オズの国でも共いられてな」
「嬉しいですよね」
「心からな」
 まさにというのです。
「いつもそう思っている」
「そうなんですね」
「戦がないので修行や学問にも好きなだけ打ち込めるし焼酎も楽しめる」
「お酒好きでしたね」
「うむ、大好きだ」
 幸村さんは恵梨香にお酒のことも答えました。
「実にな」
「そうですよね」
「だからな」
 それでというのです。 
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