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オズの木挽きの馬

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第七幕その二

「貴方もいるんだ」
「そうばい、ここの鯉は美味かとで」
 一反木綿は神宝に笑顔で応えました。
「皆で来たばい」
「いや、刺身も食おうか」
 今度は蓑と赤ちゃんの前かけを着たお爺さんの姿の妖怪でした。
「揚げてもよいのう」
「子泣き爺だね」
 ジョージはその妖怪を見て言いました。
「いや、久し振りだよね」
「そうじゃのう、お前さん達も元気そうじゃな」 
 子泣き爺も上機嫌です。
「それは何よりじゃ」
「早く鯉を釣って」
 巨大な壁の妖怪が言ってきました、小さな目と手足があります。
「食べよう」
「そうだよな、鯉がないとはじまらないし」
 川獺はこう言いました、ちゃんと人間の服を着ています。
「早く釣ろうか」
「釣るまでもないよ」
 今言ったのは猫又でした。
「あたしの妖力で川から出してね」
「それでその鯉をだね」
「調理したらいいんだよ」
「おいらの手にかかればすぐに捕まえられるよ」
 河童はこう言いました。
「釣るまでもないよ」
「それはおいらもだけれどさ」
 川獺は河童にこう返しました。
「釣り自体を楽しむこともね」
「いいっていうんだ」
「釣りも楽しいじゃないか」
「そういえば君釣りも好きだね」
「だからそっちも楽しみたいんだけれど」
「いや、もう早く食べようよ」
 から傘はこう言いました。
「鯉をね」
「ほんまここの鯉は美味いさかいな」
 狒々は川の中にいる鯉達を見て言いました。
「はよ食いたいわ」
「何か皆鯉に熱心だね」
 木挽きの馬は日本の妖怪達の様子を見て思いました。
「本当に」
「そうね、鯉って確かに美味しいけれど」
 恵梨香は首を傾げさせて言いました。
「そんなにここの鯉は美味しいのかしら」
「ここの鯉はカドリングで一番美味しい鯉なの」 
 グリンダが恵梨香にこのことをお話しました。
「オズの国でも評判なのよ」
「そうなんですか」
「だからね」
「妖怪さん達もですか」
「日本の妖怪の山からわざわざ来て」 
 はるばる旅をしてです。
「食べるのよ」
「そうなんですね」
「それだけの味だからね」
「そうなんです、あんまりにも美味しいって聞きまして」 
 河童がグリンダに答えました。
「それで是非にってです」
「そんなに美味しいならよね」
「旅をして」 
 そしてというのです。
「そこまで行って食べてみようって」
「お話してなのね」
「ここまで来ました」
「そうだったのね」
「それで鯉こくにしてです」
 そのお料理にしてというのです。
「食べようって考えています」
「お刺身や揚げものにもして」
「お刺身はあらいですね」
「鯉は洗うからよね」
「食べる前に一旦」
「それでよね」
「はい、そう言います」
 河童はグリンダにこのこともお話しました。 
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