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瞳の中の想い

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第二章

「感情が存在して人間の心があればだ」
「人間ですね」
「そうだ、そうであることをな」
「証明しますか」
「これからな」
 こう言ってだった、博士はアンドロイドを造った。そしてだった。
 実際にミドリ=フォークナーと名付け育てだした、そのうえで。
 育てているとだ、次第にだった。
 感情が芽生えていった、それでだった。博士は星に話した。
「徐々にだ」
「赤ちゃんがものを覚えていく感じですね」
「それで感情を育てていっているな」
「そうですね」
 星はそのミドリを観つつ答えた、背は一五〇程で大きな垂れ目で白い肌である、黒髪を左右でツインテールにしている。外見を見ると十四歳位のアジア系の女の子だ。
「確かに」
「育てていくとな」
「これからもですね」
「どんどん感情が育ってな」 
 そうなっというのだ。
「そしてだ」
「人間になりますね」
「そうだ、徐々にだが」 
 それでもというのだ。
「確実にだ」
「人間になっていきますね」
「そうなる、いやむしろだ」
「むしろ?」
「最初から感情がある」
「だからですね」
「ミドリは最初からだ」
 それこそというのだ。
「人間だ」
「そうですね」
「言葉や計算も教えていっている」
「知識もですね」
「やがて何もだ」 
 博士は星に微笑んで話した。
「普通の人間と変わらない」
「そうした娘になりますね」
「そうなる、だからな」
「ミドリはですね」
「私の娘だ、それにだ」
 ここでだ、博士は。
 少し俯き悲しい顔になって星に話した。
「子供が出来ない」
「そうしたお身体でしたね」
「そうだ、妻も私も子供が欲しいが」
 それでもというのだ。
「生まれつきだ」
「博士はお子さんが出来ないですね」
「そうした身体だ」
 星にこのことを話した。
「だからな」
「彼女がですね」
「私の娘だ、それでだ」
「ミドリをこれからも」
「娘として育てる、これはプロジェクトだがな」 
 アンドロイドを造ってそうして育てていくとどうなるかというだ、博士が所属している組織のそれであるのだ。
「けれどな」
「それでもですね」
「私に一任されているしな」
「だからこそですね」
「彼女をな」
 博士もミドリを見ている、今ミドリは犬と遊んでいる。表情は変わらないがそれでも一緒に遊んでいる。
「娘として育ててだ」
「人としてですね」
「育ててだ」
 そしてというのだ。
「立派な人間にな」
「育てますね」
「そうする」
 こう言うのだった。 
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