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歪んだ世界の中で

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第三話 小さな決意と大きな一歩その五

 そして気付かないままだ。千春の話を聞いていた。
 そうしてだ。さらに言う彼女だった。
「中華料理は他に薬味も入れるから」
「生姜とか?」
「そう、それを入れるから」
「余計に身体にいいんだね」
「だからそれを食べてね」
 どうかとだ。笑顔で話す千春だった。
「頑張ってね」
「勉強のこと?」
「ううん、お勉強だけじゃなくて」
「他のこともなんだ」
「希望が頑張りたいのなら」
 それならばだというのだ。
「頑張ってね」
「うん、そうさせてもらうよ」
「頑張ればそれだけ」
 どうかとだ。千春は笑顔で話していく。
「希望の心が明るくなるよ」
「頑張れたそれだけ?」
「千春はそうならないけれど」
 だがそれでもだと。自分のことを言ってから話すのだった。
「人ってね、頑張るとね」
「それだけ明るくなれるんだ」
「そう、明るくなれるから」
「僕でも明るくなれるのかな」
「なれるよ。明るくなりたい?」
 希望自身がだ。明るくなりたいかどうかと尋ねるのだった。
「希望も。そうなりたい?」
「暗いのはね。もうね」
 今の様にどん底でいること、そのことはだった。
 本心をだ。希望は今千春に答えたのだった。
「沢山だよ」
「もういいのね」
「うん、暗いのはもう嫌だから」
 実際にそう思っていた。その暗い中にいてだ。
 闇でなくだ。彼が見たいものは。
「明るくなりたいよ」
「そうだよね。人は誰でもそうだよね」
「それで心も晴れるかな」
「明るくなると晴れるよ」
 心の闇もだ。自然と消えるというのだ。
 このことを話してだった。そのうえでだ。
 千春はだ。今来ただ。
 そのラーメンを見た。ラーメンはというと。
 鶏がらの醤油ラーメンだった。麺は細めで縮れている。
 そしてその上に葱とメンマ、それにナルトがありだ。
 真ん中。丼と同じ大きさ位のだ。
 豚足があった。赤茶色によく似られたものだ。その赤茶色で大きいものがどん、とした漢字でラーメンの上にある。その独特のラーメンを見てだった。
 希望は苦笑いになってだ。こう述べた。
「凄いね」
「そう、このラーメン凄いの」
「想像はしていたけれど」
 どういったラーメンなのかというのだ。
「けれどこれはね」
「想像以上だった?」
「こんなラーメンもあるんだね」
 呆然となったまま述べるのだった。
「いや、凄いよ」
「凄いのは見た目だけじゃないから」
 その他にもだというのだ。
「味もね」
「味もなんだ」
「そう、凄く美味しいから」
 今度は別の凄さだった。味もだというのだ。 
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