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歪んだ世界の中で

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第二話 二人のはじまりその四

「何でも諦めずに最後までやったらね」
「それで出来る様になるんだ」
「そう、なれるかな」
 また言う千春だった。彼女のその言葉を受けてだ。
 希望は一歩前に踏み出した。そしてだった。
 さらにまた一歩踏み出した。それから千春に顔を向けて。
 そうしてだった。ほんの少しだけ暗さが弱くなった声で言ったのだった。
「あの、今からだけれど」
「今から?」
「本屋さんに行く?」
 千春に誘うのはそこだった。
「本屋さんにね。そこに行く?」
「本屋さんに?」
「うん、丁度この商店街にね」
 彼等が今いるだ。そこにだというのだ。
「いい本屋さんがあるんだ」
「だからそこになのね」
「うん、どうかな」
 こう千春を誘うのだった。
「そこで何か買う?」
「千春本はね」
「何か読むの?」
「植物の本が好き」
 それがだとだ。笑って希望に答えてきた。
「それが好きなの」
「植物だから?」
「千春だから」
 だからだというのだった。
「だから好きなの」
「えっ、千春ちゃんだからって」
 その言葉の意味はだ。希望はだ。
 全くわからずにだ。きょとんとして問い返すのだった。
「それって一体」
「んっ?」
「どういう意味なの、植物だからって」
「何でもないよ」
 しかしだ。千春はだった。
 にこりと笑ってだ。こう彼に返したのだった。
「別にね」
「何もないって」
「そう、何でもないよ」
 またこう言うのだった。
「だから希望は気にしなくていいから」
「僕はって」
「そう、気にしなくていいの」
 また言う彼女だった。
「全然ね。それでね」
「うん、それで」
「希望はどの本が好きなの?」
 具体的にだ。どんな本が好みかと聞いてきたのだ。
「どういった本読むの?」
「色々かな」
 少し考えてからだ。希望は樹里に答えた。
「それはね」
「色々?」
「漫画もあれば」
 まずはそれの話だった。
「それにライトノベルとかかな」
「小説?」
「うん、そういうのも読むよ」
「そうなの。小説も読むの」
「読むジャンルは色々かな」
 それはだというのだ。
「特に決めてないよ」
「そうなんだ。色々なんだ」
「学園もあればファンタジーもあって」
 そのジャンルのことをだ。彼は千春に話しはじめた。
「他には推理も時代ものも」
「色々あるんだ、本当に」
「面白そうだったら何でも読むんだ」
 こう彼が話すとだ。千春はだ。
 そのにこりとした笑みでだ。こう彼に言うのだった。 
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