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歪んだ世界の中で

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第二話 二人のはじまりその二

「だから遊べないけれど」
「お金。あるから」
 だが、だった。肝心のそれはだ。
 千春が持っているとだ。笑顔で言うのだった。
「心配しないで」
「お金あるって」
「千春のお家は山にあって」
「山にあるから?」
「山には色々なものがあるから」
 だからだというのだ。希望からしてみれば今一つ理由になっていないがそれでもだ。
 千春はこのことを理由にしてだ。希望に安心していいと言うのだった。
「お金も一杯あるの」
「そうなんだ」
「山にあるものを売ってお金にしてるの」
 そうしているというのだった。
「だから気にしないで」
「何かよくわからないけれど千春さんでいいかな」
「うん、名前で呼んでくれていいから」
「千春さんはお金持ってるんだ」
「一杯ね。使いきれない位あるよ」
 そこまであるというのだ。
「だから安心して。お金のことも」
「お金はあるから」
「女の子にお金出してもらうの嫌とか?」
「ちょっとね。そういうのはね」
「じゃあこうして」
 千春は希望の言葉を受けてだ。そのうえでだった。
 こうだ。彼に言ってきたのだった。
「千春はお金で希望を助けてね」
「お金で?」
「希望はずっと千春の傍にいて」
 こう言ったのである。希望に対して。
「そうしてくれるだけで千春満足だから」
「僕なんかがいつも一緒にいてもいいの?」
「そう、いいの」
 それでいいとだ。また満面の笑みになって答える千春だった。
 その彼女の言葉を受けてだ。希望はだ。
 あらためてだ。こう言うのだった。
「じゃあ商店街にね」
「今からね」
「行こう」
 こうしてだった。二人でだ。
 商店街に来た。八条町の長い商店街だ。商店街は夏休みで人が多かった。学生や子供達が特にだ。
 その中を歩きつつだ。商店街の店や人を見てだ。
 希望はだ、ここでも暗い顔で暗いことを言うのだった。
「あのね」
「あのねって?」
「どうもね」
 こう千春に言っていく。横にいる彼女に対して。
「不釣合いじゃないかな」
「不釣合いって何が?」
「だから。僕と君とじゃ」
 俯いて、ここでもそうしての話だった。
「不釣合いだよ」
「そうなの?」
「僕は太ってるし」
 それにだという希望だった。
「顔も悪いし服だって」
「自信ないの?」
「こんなのだから」
 実際にだ。自信のない顔で言う彼だった。
「だから。一緒にいたら君が」
「気にしてるの?」
「するよ、それは」
 それは当然だとだ。希望は晴れない顔のままで答えた。 
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